・PepsiCoが所有するコーンチップブランドのDoritosは、Netflixと提携し、2022年6月23日にバーチャルコンサート「Live From The Upside Down」を開催し、番組「Stranger Things」の第4シーズンのプロモーションを行いました。
このコンサートでは、同番組に絡めて、主役たちが全員消えてしまった1980年代の架空のコンサートについてのストーリーが展開されました。視聴ファンは、マーク付きの限定袋入りドリトスチップスを購入することで、バーチャルショーの無料チケットを入手しました。
DoritosとNetflixのコラボレーション製品発売の広告
出展:企業ウェブサイト
・Kellogg’sのチーズクラッカー製品Cheez-Itは、音楽ストリーミングサービスPandoraと提携し、Cheez-Itの限定商品「Aged by Audio」を発売しました。このクラッカーに使われているチーズは、ヒップホップ音楽で6カ月間”音波熟成”されたものだといいます。スイスのベルンで行われた研究で、音楽、特にヒップホップが流れる中で熟成されたチーズは、強い匂いと風味を持つことが明らかになったことが、今回の発売につながりました。
Cheez-Itは「Cheez-It x Pandora Aged by Audio」クラッカーの発売を記念して、ヒップホップラジオパーソナリティSway Calloway氏とコラボレーションし、YouTubeで「Living Legendz」シリーズを公開しました。
「Cheez-It x Pandora Aged by Audio」クラッカー
出展:企業ウェブサイト
・Mondelez Internationalが2021年9月に発売した「Oreo×ポケモン」のコラボレーションは、同社の最高責任者であるDirk Van de Put氏によると、米国で同ブランド史上最も急速に売れたOreo製品となり、転売市場を大いに沸かせたといいます。
10. イノベーションの拡大
CPGブランドにとって、変化する消費者のニーズや嗜好に対応するためには、イノベーションが不可欠です。
・Unileverは、店舗配車プラットフォームを提供するRobomartと提携し、今夏、ロサンゼルスで、DTCアイスクリーム店舗「The Ice Cream Shop」という名の、運転手なしの移動式アイスクリームトラックを展開する予定です。
利用客は、Robomartのアプリを使ってトラックを呼び寄せ、車のドアを開けることができ、Ben&Jerry’s、Breyers、Good Humor、Magnum、Talentiなどの中からアイスクリームを選び、Robomartのレジなしシステムによって、クレジットカードを使うことなく利用ができます。
・NUGGSやDISCSなど様々なブランドで植物由来の肉を製造しているCPG企業のSimulate社は、迅速なリサーチとブランドの認知度向上のためにゴーストキッチンを開始しました。同社の創業者兼CEOであるBen Pasternak氏は、雑誌『Fast Company』に次のように語っています。
「小売業や外食産業では、俊敏性に欠ける大規模な流通業者を抱えることは必要悪ですが、彼らのシステムの中で迅速に動くことは難しいのが現状です。しかし、ゴーストキッチンのおかげで、何でも本当に素早く実験できるようになりました。」
What We Think
多くのCPGブランドは、サステナビリティとウェルネスを長期的な事業目標として掲げているため、2022年中は続く思われる生産と流通の混乱を乗り切るために、短期的にはデジタル目標とマイクロサプライチェーンに目を向けることになるでしょう。
一方、現在のインフレ環境と来るべき景気後退の見込み(いずれもCPG製品の価格上昇につながる)では、消費者が有名ブランドのCPG製品への支出を抑制する可能性が高く、プライベートブランド製品の売上拡大の可能性が高いと思われます。2023年以降も、CPGブランドは他のブランドとのコラボレーションや製品開発を継続することで、顧客とのコミュニケーション向上やブランドリーチの拡大を図っていくでしょう。