7. 消費者を獲得するためのパーソナライズ体験
多くのCPG企業が、消費者とのエンゲージメントを深め、トラフィックを増加させるために、ウェブサイト上でパーソナライズ体験を提供しています。企業各社は、消費者を理解するために、位置情報、消費・人口統計情報、購入履歴、閲覧・ソーシャルメディアデータなど、リアルタイムのデータを活用することが可能です。その後、AIやML(機会学習)を使ってデータを分析し、パーソナライズされた商品や店舗のレコメンデーションを生成することができるのです。
・2022年4月、P&Gのスキンケアブランド「Olay」とヘアケアブランド「パンテーン」は、消費者の肌や髪質に合わせたパーソナライズソリューションを提供する新しい「Booster」シリーズを発売しました。両ブランドの研究開発チームは、消費者データの分析から、消費者が自分の肌や髪に特化した製品が店舗にはないと考えていることが分かり、そこで、パーソナライゼーションと価値の両方を提供する今回のシリーズを開発したといいます。
消費者はオンラインでアンケートに答えることで、自分に合った製品を見つけることができ、その製品を置いている最寄りの店舗か、購入できるオンラインサイトへ誘導されます。
・2021年3月、Unileverはヘルスインテリジェンス企業であるOnegevityと提携し、パーソナライズされたニキビ対策品の発表を行いました。両社は、独自および外部の研究データベースからニキビに関する生物学的データを収集、キュレート、統合します。その後、OnegevityがAIとMLを活用して生物学的特徴を評価し、特定のニキビ管理レジメンを完成させることで、Unileverのニキビ治療を進化させます。
8. 可視性と俊敏性のあるサプライチェーン
パンデミックに起因する港湾の閉鎖、コンテナや労働力の不足、物流の制限により、グローバルなサプライチェーンの混乱が生じ、ロシア・ウクライナ戦争と中国の2022年のロックダウンにより更に悪化しました。
現在、多くのCPG企業は、コスト削減よりもサプライチェーンの俊敏性と回復力の重要性に注目しています。2022年中はこの混乱が続く可能性が高いため、CPG企業各社は、自社での対応を開発したり、サプライチェーンの目標達成を支援する第三者との提携を始めています。
・Kraft Heinzは、社内のサプライチェーン能力への投資と、Microsoftとの連携による俊敏性の構築の両方を行っています。
同社の北米担当取締役副社長の Carlos Abrams-Rivera氏によると、「Microsoftとの連携は、当社の変革戦略の重要な要素です。サプライチェーン全体でイノベーションと効率化を推進するためのMLと、高度な分析を提供することで、製品をより早く市場に投入し、お客様へのサービスを向上させ、最終的には当社の代表的なブランドがこれまで続けてきている、持続的かつ拡大する消費者需要への対応を可能にするでしょう」と述べています。