経済・社会

2022.09.17 11:00

現代に息づく「信長のおもてなし」 岐阜のSDGsは何がすごいのか


世界農業遺産にも認定


さらに、長良川鵜飼に関しては、2015年12月に「清流長良川の鮎」が世界農業遺産に認定されている。

世界農業遺産とは、その土地の環境を生かした伝統的な農林水産業や、生物多様性が守られた土地利用、農村文化や農村景観などが一体となって、維持保全が図られている世界的に重要な地域を、後世に引き継ぐことが目的。2002年にFAO(国際連合食糧農業機関)によって創設された。FAO本部はローマにあり、筆者は農林水産省勤務時代に何度も訪問した。

長良川鵜飼では、国内外からの観光客呼び、今でも皇室に鮎を献上する御料鵜飼を行っているほか、用具に天然素材の原料を用いるなど、豊かな自然環境と共存する精神が根付いている点が評価された。


長良川鵜飼の様子 Getty Images

市民意識調査では、「鵜飼」を岐阜市の魅力と考える市民が多く、その割合は年々増加している。「サスティナビリティの象徴」でもある鵜飼は、市民の誇りの醸成に寄与しているのだ。

ほかにも、島根県の石州半紙・埼玉県の細川紙とともにユネスコの無形文化遺産に登録された「美濃和紙」など、岐阜には世界で評価されているコト、モノがある。

SDGs時代にも「信長のおもてなし」


その後2021年に「SDGs未来都市」にも選定。岐阜市のテーマは「ぎふシビックプライドとWell-beingに満ちたSDGs未来都市」だった。その提案書を読むと岐阜市の歴史・文化・自然面での強みがコンパクトにまとめられていて興味深い。

例えば以下のような一節がある。

「我が国の歴史上の転換期である戦国時代に活躍した斎藤道三や織田信長が築いた岐阜城や城下町をはじめ、江戸時代後期から戦前に建てられた町屋や神社仏閣が数多く残り、歴史まちづくりの重要な資源となっている」

つまり、「信長のおもてなし」が SDGsの時代にも重要資源として受け継がれているのだ。

具体例を見ていこう。長良橋南詰の鵜飼観覧船のりばから西へ続く「湊町・玉井町・元浜町」は、通称「川原町」といわれるエリアは、格子戸のある古い町並みが今も残り、いつ訪問しても風情がある場所だ。
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文=笹谷秀光

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