経済・社会

2022.09.17 11:00

現代に息づく「信長のおもてなし」 岐阜のSDGsは何がすごいのか

岐阜公園の「若き日の織田信長像」。遠景に金華山と岐阜城(突出したところ)

政府(内閣府)の「SDGs未来都市」制度は、政策の「累積性」を感じさせる制度である。発足から5年目を迎えた今年は、5月に新たに30都市を選定し、特に先導的な取り組みの10事業を「自治体SDGsモデル事業」として選定した。

この結果、この5年で累計は「SDGs未来都市」が154都市、「自治体SDGsモデル事業」が50事業となった。さらに、2024 年度までに210 都市の選定を目指している。

その「SDGs未来都市」に2021年度に選定された岐阜市を久しぶりに訪問した(岐阜県も2020年度に選定)。同市のこれまでの歩みから、SDGs未来都市制度の意義を探る。

「信長のおもてなし」で日本遺産第1号に


岐阜市は、岐阜県南部に位置する面積約200km2、人口約40万人の県庁所在市である。市内北部に山林、南部に市街地が広がり、中央には岐阜城を頂く緑豊かな金華山と、1300年以上の歴史を誇る「長良川鵜飼」で有名な清流長良川を有している。


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名古屋市からは直線で約30km、電車で約20分の通勤圏。高度な都市機能を備えた県内の中核市として、圏域の社会経済を牽引している。

そんな岐阜のまちづくりに新機軸を与えた制度が、「日本遺産」だった。2015年、金華山を含む長良川中流域一帯が、文化庁が創設した制度「日本遺産」の第1号に認定されたのだ。

この制度は、地域で世代を超えて受け継がれている、歴史的魅力にあふれた文化財群や地域資源をまとめた「ストーリー」を認定するもの。世界遺産にはなっていない日本の優れた遺産を未来に残そうとする仕組みである。当時急拡大していたインバウンドの観光も意識していた。

日本遺産に選定された際のタイトルは「『信長のおもてなし』が息づく戦国城下町・岐阜」。サイトでは遺産について、次のように解説されている。

「戦国時代、岐阜城を拠点に天下統一を目指した織田信長。彼は戦いを進める一方、城内に「地上の楽園」と称される宮殿を建設、軍事施設である城に『魅せる』という独創性を加え、城下一帯を最高のおもてなし空間としてまとめあげる」

「自然景観を活かした城内外の眺望や長良川での鵜飼観覧による接待。冷徹なイメージを覆すような信長のおもてなしは、宣教師ルイス・フロイスら世界の賓客をも魅了した。岐阜城が城としての役割を終えた後も信長が形作った城・町・川文化は受け継がれ、現在の岐阜の町に息づいている」

この日本遺産への登録により、岐阜が改めて市内外に広くPRされるとともに、市民に価値ある地域資源として認識されることとなった。
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文=笹谷秀光

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