現在の気象状況が2日以内に熱帯低気圧に変わる確率は50%、5日以内に変わる確率は80%であるとNHCが8月29日の声明で述べている。
NHCによると、現在の天候は「広い範囲で曇天とにわか雨を不規則に発生」させており、カリブ海に向かって時速8~16キロメートルで進みながら今週徐々に成長していくと予想されている。
この低気圧が最終的に熱帯低気圧(tropical storm)に変わったとすれば、7月初旬以来、今年4つ目となり「Danielle(ダニエル)」の名称が与えられる。熱帯低気圧は風速が毎時39~73マイル(毎秒17~33メートル)以上のものを呼び、それ以下のものは弱い熱帯低気圧(tropical depression)と呼ぶ。
NHCは、それ以外に西アフリカ付近を含む大西洋・カリブ海、バミューダ、およびメキシコのユカタン半島で3つの低気圧(Disturbance)を追跡しているが、予報担当者らはそれらが5日以内にサイクロンになる確率を50%未満としている。
もし9月1日以前に熱帯低気圧もハリケーンも発生しなければ、1997年以来初めて、8月に名前のついたストームが来なかった年になる。ブルームバーグとワシントン・ポストが報じている。NHCのデータによると、過去30年以上、大西洋は例年8月29日までに6つの名前のついた嵐を経験しており、8月末までにハリケーンが2つ発生している。
大西洋のハリケーンシーズンは数カ月にわたって小康状態を続けている。大西洋で最後の名前の付いた嵐である熱帯低気圧の「Colin(コリン)」が7月2日にサウスカロライナ州沿岸で発生した後、8月にはいくつかの熱帯低気圧候補が消滅した。今年はハリケーンが1つもなく、熱帯低気圧が3つ発生しただけだったのに対し、昨年は同時期までに4つのハリケーンと7つの熱帯低気圧が発生し、観測史上最大級のハリケーンの多いシーズンとなった。
2022年のハリケーンシーズンは名前のついた21のストームが発生した2021年に迫る可能性がある、としていた今年4月段階の予測を、この夏の小康状態は裏切っている。専門家の中には、2カ月にわたるこの停滞を、サハラ砂漠から大西洋の一部に飛ばされてきた砂塵と結びつける向きもある。サハラ砂漠からの風は乾いた空気と大規模なウインドシア(風速風向の急激な変化)をもたらしており、どちらにもハリケーンの発生を抑制する傾向がある。
ハリケーンシーズンはまだピークを迎えていないため、活動が急変する可能性はまだ残っている。ハリケーンと熱帯低気圧の活動は、通常9月中旬がピークであるとNHCは述べており、昨年のシーズンでも7月と8月の一部に小康状態はあった。8月初め、コロラド州立大学の研究者らは、今シーズンは大西洋にカテゴリー3に属する大型4個を含む8個のハリケーンをはじめとする18のストームがやってくると予測した。一方、米国海洋大気庁は、名前の付いたストームの数を15~21と予測している。
(forbes.com 原文)