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2022.08.30 07:30

あれから30年、ハリケーン・アンドリューから学んだこと

Getty Images

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ハリケーン・アンドリューは、いわゆる「あの」嵐と呼ばれるものの1つだ。人々が世代を超えて語り継ぐ種類の嵐だ。1992年8月24日、ハリケーン・アンドリューは上陸し、時速170マイル(毎秒76m)を超える暴風と、破壊的な高潮をもたらした。しばしば忘れがちだが、この暴風は2日後にルイジアナで2度目の上陸を果たしている。私は本稿を、最初の上陸から30年後と同じ日に書いている。私はこのハリケーンを振り返るにつけ、ハリケーン・アンドリューには、いまだにほとんど見過ごされている教訓があることを思い出す。それはなんだろうか?

答えをいう前に、少し背景を探ってみよう。ハリケーン・アンドリューは総額250億ドル(約3兆4000万円)を超える損害を与え、Saffir-Simpson hurricane wind scale(サファ・シンプソン・ハリケーン・ウィンド・スケール、SSHWS)カテゴリー5の暴風雨となって上陸した。このハリケーンは65名の死者を出し、近隣一体を壊滅させた。NASA Earth Observatoryウェブサイトは次のように書かれている「…8月22日、ストームは有利な周囲環境、とりわけ鉛直方向のウィンドシアの減少に遭遇し、それが急速な強化をもたらし、ハリケーンへと転換した」


レーダーが破壊される直前のハリケーン・アンドリューのスキャン画像(c)NOAA HRD

当時、私はフロリダ州立大学気象学科の大学院生だった。ハリケーン・アンドリューについて強く私が覚えているのは、その強風がいかに破壊的であるかということだった。通常、大型ハリケーンが上陸すると、暴風、高潮、豪雨、竜巻など一連の危険な状況をもたらす。アンドリューも例外ではなかったが、暴風の被害は私にとって際立っていた。当時私の研究では、最新のレーダー技術と遺伝的アルゴリズムを使って上陸するハリケーンの目と目の壁(アイウォール)の特性を追跡する作業を行っていた。

マイアミの国立ハリケーンセンター(NHC)の屋根に設置されていた旧型のWSR-57レーダーシステムは、ハリケーン・アンドリューの最後のスキャンの後に破壊された。そのスキャン画像(上)を見ると、不吉な紫色の塊(目の壁の中の非常に強力な対流)が国立ハリケーン・センターの方に向かって周囲を回っている。そのレーダーは壊れたが、新たに設置されたWSR-88Dレーダーシステムが上陸するストームを捕らえた。私は自分のアルゴリズムを改良するために使ったデータそのものを使って博士論文を完成させることになった。

ハリケーン・アンドリューは独力で、フロリダ州の建設に関する法令やガイドラインを変更へと導いた。それ以来、私たちの気象予報能力は大幅に進歩した。米国国立海洋大気庁(NOAA)のプレスリリースの中で、国立ハリケーンセンター長代理のジェイミー・ローンは次のように語っている「1992年以来、ハリケーン予報は大きな進歩をとげました【略】研究、モデリング、衛星、航空機観測、予報の技術革新などへの投資によって、ハリケーンの進路予測は75%、強度予報は50%改善されました」。いずれの面でも、特に強度予報についてはまだ改善の余地が残っているが、正しい方向に進んでいる。


NOAAによる大西洋のハリケーン・シーズン展望、2022年8月4日現在 (c)NOAA
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翻訳=高橋信夫

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