大企業は大きなアドバンテージを持っている。しかし、私たちは、小さくて軽快で革新的な企業が、次の大きな「大物」になるまでのスピードを目の当たりにしてきた。ネットフリックスの従業員数はわずか1万1000人で、20年前まで存在しなかった。ネットフリックスは、巨大企業になる前につまずいた。私たちは、イノベーションと消費者の行動や嗜好の変化に注意を払わないことについての教訓を知っている。
Blockbusterは、ネットフリックスを5000万ドル(約66億円)で買収するチャンスがあった。しかし、Blockbusterの経営陣は、ネットフリックスの創業者でCEOのリード・ヘイスティングスを一笑に付してしまった。現在、ネットフリックスの価値は1010億ドル(約13兆4500億円)近くに達している。あなたが10代の頃に通っていた地元のBlockbusterは、今ではFedExになっている可能性が高い。
ネットフリックスは、マイクロソフトに売却されるのか?
ネットフリックスがディズニーと競争したくてもできない場合、Microsoft(マイクロソフト)のような企業に売却する可能性があると主張する人もいる。ネットフリックスのCEOであるヘイスティングスは以前、マイクロソフトの役員を務めていた。マイクロソフトはほぼB2Bのテクノロジー企業の状態、エンターテインメント企業にシフトする可能性がある。マイクロソフトは、長い間、コンシューマー向けに戻ろうと考えていた。
ストリーミングサービスの価値はその最後のヒットコンテンツで決まる
視聴者はストリーミングの大企業に幻滅しつつある。
いずれケーブルテレビがディスラプトされるように、ストリーミングサービスもディスラプトされるようになるだろう。消費者は、どのプラットフォームが何のコンテンツを所有しているかに関係なく、好きなコンテンツを好きなときに観たいだけなのだ。
Spotify(スポティファイ)、Peloton(ペロトン)、Starbucks(スターバックス)、Amazon(アマゾン)……など、ほぼデジタルネイティブでパーソナライズされた企業から、未来の視聴者が享受するパーソナライズされた体験について考えなければならないだろう。
視聴者はYouTube(ユーチューブ)、TikTok(ティックトック)、Instagram(インスタグラム)、(アマゾン所有の)Twitch(ツイッチ)で何時間もコンテンツを視聴しているが、その時間はストリーミング大手のコンテンツを視聴することができる時間でもあるのだ。
視聴者は価値を求めている。ウォール街はこれらのコンテンツプロバイダーがどれだけ儲かっているかに熱中しているが、真実は顧客体験にあり、市場は極めて飽和状態にあって何かが必要なのだ。
ストリーミングプラットフォームは、最後にヒットした番組や映画と同じだけの利益を上げているに過ぎない。そのコンテンツ制作が止まれば、加入者を失う。視聴者とは気まぐれな関係なのだ。
視聴者がケーブルテレビから離れたのは、パーソナライゼーションの欠如、つまり関心のないコンテンツが大量にあったからだ。しかし、同じことはストリーミングのオプションについてもいうことができる。