大方の予想通り、2020年に最も多くの資金をコンテンツ制作に投入する計画を立てているのはネットフリックスだ。ブルームバーグのデータによれば、その予算額は160億ドル(約1兆7254億円)に達する。
自社制作の「ストレンジャー・シングス 未知の世界」や「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」といった大ヒット作品を擁するネットフリックスは、2020年の第1四半期に、史上最高となる1600万人の新規契約者を獲得したと伝えられる。これにより、同サービスの契約者数は全世界で合計1億8300万人に達した。
一方、アマゾンも「プライム・ビデオ(Prime Video)」サービスで、競争が激化する動画配信業界の大手企業として存在感を高めている。同社は2020年のコンテンツ制作予算として、70億ドル(約7550億円)を投じる計画だ。アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は2020年に入り、アマゾン・プライム(プライム・ビデオの利用者も含む)の会員数が前年の1億人から急増し、全世界で1億5000万人を超えたと発表した。
株価を見ると、ネットフリックスは2020年に入り31%以上、アマゾンも29%上昇している。アマゾンの株価は5月20日、これまでの最高値を更新した。
だが、ブルームバーグによるコンテンツ投資額に関する分析には、ある主要な配信サービスが含まれていない。それは「Apple TV+」だ。2019年11月にサービスを開始したApple TV+は、60億ドル(約6470億円)のコンテンツ制作費を投入する予定だ。同サービスの月額料金は4ドル99セント(日本では月額600円)と、動画配信プラットフォームの中では最も安い。
Apple TV+のユーザー数はすでに3300万人を突破し、Hulu(フールー)の契約者数を抜いた。だがヴァラエティ(Variety)の記事によると、そのユーザーの大部分は、「アップル製品を新規購入すると同サービスを1年間無料で体験できる」という期間限定のキャンペーンで加入した人たちだという。アップルの株価は2020年に入って6%上昇している。