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2022.08.17 15:00

異色の日米タッグ、日本発オンライン動画「Narō」とは?


言葉の問題から生じる距離感


─では何故、日本の「先生」にフォーカスを当てたいと思ったのでしょうか?
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トッド:それには大まかに言って二つの理由があります。まず第一に西欧を含む世界の多くの人たちが抱く日本や日本文化への憧れ、そしてあとの一つは、知りたい気持ちがあるにも関わらず、言葉の問題から生じる憧れの日本との距離的な隔たりです。それがもとで、日本文化との触れ合いの機会が少ないことが挙げられると思います。

さらに言うと、その道の達人や匠の技を持つ職人は自分たちの道を究めることは得意なんですが、その技の素晴らしさを世界に向けて発信していくことには不得意な人たちが多いんです。ですから、日本各地に埋もれている「達人の極意」や「匠の技」を世界に発信していくことは僕とってむしろ「使命感」に近いようなものがあるんです。

─実際にそんな匠の技を手掛けてみて、ご自身たちの感想は?
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トッド:僕は映像の作り手として、改めて二つの大きな驚きを手にしたような気がしています。

一つ目は、その道の達人が発信する食材に命を吹き込むようなコメントや、先生が自分のすぐ隣に立って達人の世界へ誘ってくれる臨場感に対する僕自身の新鮮な驚きであり、二つ目は料理の裏に隠された一つ一つの食材への思い入れや、手間暇かけた料理手法を目にすることを海外の視聴者が想像していた以上に喜んでくれたことです。

─今後はどのような先生、または「達人」のご紹介を念頭に入れているのでしょうか?

西村:作り手側である私たちが好奇心に満ち溢れている人種なので、ジャンルを問わず、様々な分野の達人を紹介したいというのがその答えです。とりあえず、次に登場する先生リストには、相撲界のリジェンド、元大関の小錦関や「着物スタイリスト&デザイナー」として世界に着物伝統の素晴らしさを発信している「冨田伸明」氏を予定しています。

そして、その他にも「メンショーラーメン」で知られる異色のラーメン・クリエーター、庄野智治氏、「世界のベストレストラン50」で注目のレストラン賞を獲得した創作料理店、「傳(田でん)」のオーナー兼シェフである長谷川在佑氏など、数多くの「食の達人」が登場する予定です。



さらに、「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」「イノセンス」アニメ監督である押井守氏の撮影もちょうど開始したところです。リオ五輪の閉会式セレモニーの演出を担当したMIKIKO氏にもご登場して頂く予定です。その他、これから続々と私達日本人が世界に知ってもらいたい先生方が今後も多く登場します。
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文=賀陽輝代 写真=藤井さおり

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