──プログラミングスキルを身に付ける女性リーダーが増えるのは素晴らしいことだと思いますが、そのほかに、女性リーダーを育てるためにはどういったことが必要になってくると思いますか?
その根源は、昔から不文律のように唱えられている女性教育にあると思います。つまり、男性には競争精神、女性には社会への協調性という美徳を教えようとするため、女性は常に周囲との関係を円満に保とうとして、無意識のうちに自分を抑えて我慢している人が多いのではないかと思います。
そして、全ては小さいころからの教育に基づく体験によるものなんです。わかりやすい例として、とても興味深いスペインの広告を一つ紹介してみたいと思います。
撮影の寸前にお塩を入れたヨーグルトを食べさせたところ、それを口した男の子たちは「まずい」といってヨーグルトを吐き出し、女の子たちは我慢して「とても美味しい」といってそのヨーグルトを食べてしまったんです。
つまり、親や周囲の人たちは無意識のうちに「女の子は我慢することが必要」というメッセージを伝えてしまっている。まずは、そこから変えること、そして、物事がうまく進まないことは必ずしも女性の責任だけではないと伝えることが大切なのだと思います。さらにいえば、現在は女性にも世界の経済の仕組みや金融の構成を教えることも非常に大切です。
──多様な経歴を持つソフィーさんご自身の多様性は、ITスキルを身に付けることによって益々花開いているのではないかと思います。現在は、性別に関わらず、ITの技術力を備えることで社会的に活躍の場が広がる世の中になってきていると思うのですが、その点についてはどのようにお考えですか?
確かにITスキルを身につけることは、あらゆる分野で利点に繋がると思います。私自身の例でいえば、かつてプログラマーだった私が、今では「42Paris」の校長としてIT教育活動の中枢に携わる立場で任務を果たしているわけです。
システム開発を学ぶことで物事を理論的に考える方法を身につけ、秩序だった仕事の進め方を学びました。ITを学ぶということは、脳の活動を活性化して和らげ、物事を柔軟に受け入れることを学ぶことでもあるんです。そして、何よりも大切なことは、そうした全ての学びの要素が現在の私の自信に繋がっているということなんです。
──では、今後の「42Tokyo」への期待と、日本の女性へのメッセージを最後に一言お願いできますか?
今後の「42Tokyo」には、私個人として、さらに「42Paris」の校長として大きな期待を寄せています。
そして「42Tokyo」で学ぼうとする女性に対しては「42」でデジタルスキルを身につけることによって「自分で自分の人生を変えることができる」「新しい仕事を見つけることができる」「世界が広がり、海外で仕事をするチャンスが生まれる」「自立することができる」という数多くの利点を手にすることができというメッセージを送りたいと思います。今こそ、自分の人生の可能性を追求するチャンスを掴み、新しい挑戦に挑んでみてください。
ソフィー・ビジェ(Sophie Viger)◎2018年より現職「42Paris」校長に就任。パリ第6大学で生物学修士号を取得後、ソルボンヌ大学で音楽学修士号を取得。その後マルチメディアディレクターとして訓練を受け、コンピューター教室で開発者及び講師として働き始める。2008年から2012年までIESAマルチメディアの教育ディレクターを務め、2013年以降はCoding Academy、Samsung Campusの施設長、2018年より現職「42Paris]校長に就任。