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2022.08.05

「いける」と思って始めると、うまくいかない──ユーグレナ・出雲充の起業哲学

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「今の20代は、事前に調べる力が強い。スマートフォンで何でも調べられる。でも、それで調べられる情報は、誰でもアクセスできる情報、ですよね。そこでは、他の人と何の差異も生み出せない」 

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例えば、生物は食べることで増殖します。しかし同じようなものばかり食べるものたちが同じ環境下で繁殖すると、競争が極めて厳しくなります。その生態系の中で食べられるものが、少なくなっていくからです。

「だから、ユーカリみたいな、他の生物が食べられないものを食べるコアラは生き残れているわけです。しかも、ゆっくり食べられる。情報の扱いも同じです。誰でも調べられる同じことではなく、圧倒的に個人的な体験に基づく話のほうが価値があります。いかにみんなで同じことをするというトレンドから抜けられるか」

つまり、順番が逆なのです。必要になるのは「他と違う」ということ。そして、「調べる前に動き始めること」です。

「もうひとつ、生物にとって変化するということはストレスなんです。昨日も今日も明日も同じことが、生物には心地良い。だから、変化を起こすことは、そもそも難しい。ただ、それではもう生き残れない。だから、変化できる力を身につけておかないといけない」

そして出雲さんが語っていたのが、いきなり大きなこと、大きな変化をしようとしないことでした。

「例えば、会社に来る道を変えてみる。駅を変えてみる。違う方法にしてみる。極端な変化をやろうとすると、続かないんです。だから、小さな変化から始めてみる。変化が起これば、結果も変わります。発見があったり、出会いがあったりするかもしれない」

考え過ぎないこと。小さな変化から始めること。まずは行動を起こしてみること。出雲さんはそうやって、ユーグレナを作ったのです。

文=上阪徹 編集=露原直人

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