シリコンバレーでは、2021年の後半に入ってからWeb3はいろいろな方面で盛り上がり始めたが、2021年の年末からの暗号通貨の暴落に伴ってネガティブな話のほうがよりニュースとしてハイライトされることが増え、最近ではやや下火になっているのではないかという印象だ。
翻って日本でのWeb3の話題を追っていると、最近になっても下火になるどころかさらに盛り上がっているのではないかという印象さえ受ける。
Web3というパラダイムシフト
少しだけ「Web3とは何か」ということについて、歴史的な流れから簡単に整理しておこう。Web3というのはざっくりと言ってしまえば、インターネットの使い方に関する新しいパラダイムシフトの動きである。インターネットとは、そもそもコンピュータ同士の通信ネットワークとして開発されたものだ。
1990年代にウェブブラウザが発明され、インターネットが商業利用されるようになった黎明期においては、ユーザーのコンピュータからサーバーのコンピュータへ情報を参照しにいく、いわば一方通行の利用が主であり、これが「Web1.0」とも呼ばれるものだ。現在においてもニュースサイトでニュースを閲覧するようなユースケースはWeb1.0から続くものである。
これが2000年代になって、情報が一方通行ではなく、ユーザーの側からも情報を発信することができるインタラクティブなユースケースが台頭してきたのが「Web2.0」である。この動きでもっとも発達したユースケースの1つがソーシャルメディアだろう。
フェイスブックやユーチューブなどユーザー自身がコンテンツクリエイターとなって情報発信する世界が出来上がり、それに伴いそうした情報をアグリゲート(集約)するいわゆるプラットフォーマーが誕生することとなった。
このWeb2.0の世界では、こうしたプラットフォーマーがインターネット上の情報を握れば握るほど、ユーザーに対してより便利なサービスを提供することが可能になり、あらゆるサービスにおいてNo.1の企業が圧倒的な力を持つこととなった。