錦織圭や平野歩夢をはじめ、グローバルで活躍するトップアスリートのマネジメントを行うIMG Japan。同社のシニアバイスプレジデントである菊地広哉は、「次世代アスリートは、よりグローバル思考である」と分析する。
Forbes JAPANが“30歳未満の30人”を選出するアワード「30 UNDER 30 JAPAN」のアドバイザリーボードも務める菊地に、日本のスポーツ界への期待を聞いた。
「目指すべき場所」が明確に描けるように
──東京五輪後の国内スポーツ界を支える、次世代アスリートの特徴は。
デジタルネイティブな世代なので、早いうちから国内だけでなくグローバルを見据えている選手が多いですね。もはや、国という考え方ではなく、インターネットという巨大大陸の上でプレーをしている、とも言えそうです。
ネットがない時代には、海外はもちろんのこと国内の試合ですら満足に観戦できない状況だったことを踏まえると、ネットの普及によって「目指すべき場所」を明確に描けるようになったといえます。
例えば、テニスのウィンブルドンのコートも、ゴルフのマスターズのコースも、家にしながらにして手に取るように把握ができる。そこで戦う世界クラスの選手のプレーを繰り返し見ることもできる。つまり、家にいながらにしてコースの形状などを把握できるのです。また、世界で活躍する一流選手のプレーも気軽に観て、参考にすることができます。
次世代の選手たちにとっては、それが当たり前です。その子たちが成長し、実際に海外の大きな大会に出場したときには「ここ、昔から知ってる」とデジャヴのような既視感が生まれるかもしれませんね。少なくとも前提知識がある分、身体がガチガチになって動かなくなるリスクは減ると思います。
明確にプレーをイメージしたり、目標設定ができたりする環境は、アスリートにとって、とてもポジティブに働く要素です。「もっと上手い選手とプレーしたい」「もっと強い相手と戦いたい」という意欲が湧き、「世界の最高峰で勝負したい」と考えるアスリートは増えています。