30U30

2021.10.22

「村上春樹作品の登場人物のよう」と形容された13歳、スケボー開心那

スケートボーダー 開 心那

次代を牽引する新しいリーダーを発掘し、ビジネスからサイエンス、スポーツ、アートなど多彩なジャンルから30人の才能に光をあて、その活動をForbes JAPANとしてエンカレッジしていくことを目的としている「30 UNDER 30 JAPAN」

今年、各分野に精通した専門家や業界オーソリティ、過去受賞者で構成されるアドバイザリーボードと編集部で審査を行い、スポーツ部門の受賞者として選出されたのが、開 心那だ。



日本人最年少メダリストを飾り立てる言葉は数多くあるが、開心那の強さは、練習場でも、世界レベルの大きな舞台でもスケートボードを純粋に楽しめることにある。5歳からスケートボードを始め、同じスクールの年長者を見て、追いつきたいと思った。後に出場する大会で外国人選手を見て、同じ場所に立ちたいと感じた。それからの目標は「かっこいいスケートボーダーになる」こと。銀メダル獲得直後にも言葉にした、ぶれない指針だ。

ひたすら汗を流し、一足飛びで駆け上がってきた。「失敗したらみんなで悔しがって、成功したらみんなで喜ぶ」、それがいつものこと。2021年の東京五輪のパークをいつも通り楽しみ、自分が勝ってしまった年上の相手をちゅうちょなく抱きしめた姿に、今回、開を推薦したIMGの日本支社代表を務める菊地広哉は、「村上春樹作品の登場人物のような自由さを感じた」という。


──自分を奮起させるためにやることは?

インスタグラムやユーチューブでかっこいいスケートボードのビデオを見て、自分がメイクしたときを想像すること。アメリカにはスケートパークがたくさんあるので、コロナ禍が明けたら、まだ行けていないパークをいろいろ回りたいと思っています。大会には出場をしていないかっこいいスケートボーダーもたくさんいるので、直接見てみたいです。

──一番の挫折は? どう立ち直った?

2年前のけが。東京五輪の日本代表を決める大会の1~2カ月前に腕を骨折してしまったのですが、モチベーションが下がらないように、家族と釣りに行ったり、旭川に花火を見に行ったり普段やらないことをやってみました。それまでは日本にいても練習が中心の生活だったので、経験したことのないことをたくさんすることで、気持ちも持ち直すことができました。

──10年前の自分にアドバイスをするなら。

「もうちょっと運動しなさい」。運動神経が悪くて、鉄棒は全然できないし、自転車は少ししか乗れません。最近練習をして縄跳びは二重跳びができるようになりましたが、スケートボード以外の運動は苦手なものが多いんです。
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文=中村大輔 写真=映美

この記事は 「Forbes JAPAN No.088 2021年12月号(2021/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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