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2022.07.26 12:30

日本酒を「世界酒」へ グローバル展開の戦略と原動力とは


生駒:そこまで言っていただけてありがたいです。実際に日本は今、過渡期にあるとは思います。安くていいものを売ることで発展してきたものの、人口減少や海外の変化もあり、パラダイムシフトが起き、その新たな流れに乗るための真っ只中と言えそうです。

日本は本来、技術力も高く情緒的な表現も豊かですから、プレゼンテーションも得意なはず。それらがうまく組み合わされば、僕たちが思い描く未来も数十年後には当たり前に実現しているはずという感覚もあり、だからこそ頑張ろうとも思えます。

日本のものを世界に届けたい、高い価値を伝えたいという思いを持つ人が非常に多くいるのも、今の時代の特徴と言えます。僕自身、もしも10年前に今の事業をしていても、ECの盛り上がりやスタートアップの資金調達環境を考えると、難しかったと感じています。一方、10年後でも波に乗りきれていなかったはず。そう考えると、36歳という経営者として気力も体力も充実しているタイミングが、2022年に重なった意味があると思っています。

中道:自分で事業を始めると、当然責任もあり、結果も出さなければいけません。自分の足で立つことは実際やらなければわかりませんが、苦しいことも楽しいことも多くあります。ただ、生駒さんは楽しそうに見えますね。

生駒:10年やってきて利益が出始めたのもこの1年のことで、常にギリギリで食い繋いできましたが、なぜ続けているのかと聞かれれば、やはり「好きだから」と言えます。

儲かることも、売上を作ることも重要であるものの、今やっていることが生きがいであり、生きている意味と言えるのは自分の強みだと感じています。

今となってはこの生き方以外は想像つかないほどで、日本酒のおかげで今の自分があるのは間違いありません。だからこそ、「成長することで産業に恩返しをしたい」「日本酒の魅力を知ってもらいたい」。もはや、好きであることが“当たり前”で、諦めることやモチベーションが下がることはありえないので、毎日粛々と続けていけます。

もちろん会社の成長といった経営者目線もありますが、日本酒と向き合ってその価値を消費者に届けたいという思いは、綺麗な夕日を見たときや美味しいものを食べたとき、「妻と一緒にこの景色を見たい」「息子にこれ食べさせてあげたい」という思いの延長線上にあります。打算でも仕事でも何でもなく、初めて日本酒を飲んで「美味しいから、誰かに教えてあげたい」という純粋な気持ちのままです。

中道:最初は、大嫌いからのスタートでしたからね。

生駒:そうですね。大嫌いから始まって、どんどん気持ちを高めていきながら、今後は世界と向き合っていきたいですね。

中道:楽しみです。本当に心から応援しているので、何か一緒にできることがあれば、ぜひ協力させください。

文=小谷紘友 編集=鈴木奈央

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