ビジネス

2022.07.19

3年で売上20億円 「高級日本酒」はその魅力をどう伝えたのか?

番組ナビゲーターの中道大輔(左)とClear代表取締役CEO 生駒龍史(右)

日本の企業が世界に出るときに足りないものは何か。そのひとつが“クリエイティビティ”だとしたら、どうしたら乗り越えていけるのか。

Kitchen & Companyの中道大輔がナビゲートするPodcast「VISION TO THE FUTURE」とForbes JAPANがコラボレート。国内外で活躍する“視点”のあるゲストとともに、考え、発信していく。

7月18日配信は、日本酒メディア『SAKETIMES』と日本酒ブランド『SAKE HUNDRED』を手がけるClearの代表取締役CEO、生駒龍史がゲスト。日本酒の奥深い世界にのめり込んでいったストーリーを聞いた。


中道:今回は、Clear代表取締役CEOの生駒龍史さんをお迎えしています。

生駒:よろしくお願いします。

中道:生駒さんは1986年に東京で生まれ、2013年2月にClearを設立。2014年には日本酒メディア『SAKETIMES』をローンチ。2018年7月に有限会社川勇商店を買収し、日本酒ブランド『SAKE HUNDRED』をスタートされています。日本酒事業のグローバル展開を目指し、その発信における第一人者として注目されています。まず、なぜ日本酒に行き着いたのか、経緯を教えてもらえますか。

生駒:日本酒の仕事をしていると話すと、お酒好きや酒豪のイメージを持たれがちですが、僕の日本酒への印象は悪かったんです。学生の頃に“一気飲み”させられた経験があるからですね。僕は軽音楽のサークルだったのですが、ライブ後の飲み会で、罰ゲームみたいに名も知らぬ日本酒をジョッキいっぱいに注がれ、「新入生!これ飲め!」とか言われて。

中道:バカですよね。

生駒:そうなんですよ。もう少し下の世代になると、そもそも飲み会に行かなくなり、そういうことはないみたいですけど。こういう経験があると、一気飲みは “飲み方”が問題なのに、日本酒自体に問題がるような印象が消えず、二度と飲まれないことになりがちです。

僕も「二度と飲むか」に近いところまできたのですが、大学を卒業し、社会人経験を経て、独立に向けて事業のアイデアを考えている2011年の夏頃、大学の同級生から連絡をもらったことが転機になりました。その同級生の実家が日本酒に強い酒屋で、インターネットの時代に日本酒を通販で売る事業を一緒にやらないかと、声をかけてくれたんです。

そもそも僕はお酒に弱く、ビールを一杯飲むだけで顔が赤くなるタイプ。それで「日本酒は苦手で、申し訳ないけどできない。好きなものを仕事にしたいんだ」と話をしたところ、彼は「美味しいお酒があるから、美味しいと思ったらぜひ一緒に仕事しよう」と。

そのときに飲んだのが熊本県の『香露』という日本酒で、今思い出してもびっくりするほど美味しかったですね。”ツン”とする日本酒のイメージがなく、辛すぎもしない。穏やかで華やかな香りやコクがあり、旨味や甘味の膨らみを感じられました。

中道:綺麗ですよね。

生駒:「すごいおいしい!」と思いましたね。それまで大嫌いだった分、ギャップも大きかったです。起業を考えていたタイミングでもあり、「日本酒でやってみるか」と最初は個人で始め、そこからいくつかの事業を経て、2014年に日本酒の情報を増やしたいと、『SAKETIMES』を始めました。
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文=小谷紘友 編集=鈴木奈央 文中画像=Clear提供

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