7月18日、原油価格は供給不足への懸念から再び上昇し、価格指標のブレント原油価格は1バレル100ドルを優に上回り、103ドルになった。
米国の平均ガソリン小売価格は、6月のピーク時に5ドル以上だったものが1ガロン当たり4.65ドルまで50セント近く下がっている。それでも、現在のエネルギー危機が続き、価格が再び上がると信じるに足る理由はたくさんある。
原油とガソリンの価格が最近下がっているのは、経済不況に対する恐怖の高まりによって燃料需要が低下しているためだ。
しかし、過去最高の高値にも関わらず、米国のガソリン需要は、この時期の新型コロナ以前のレベルと比べて4〜5%しか下がっていない。言い換えれば、需要の減少は劇的なものではなく、それはパンデミック後の多くの消費者の旅行意欲が高いガソリン価格の痛みに打ち勝っているからだ。
つまり、景気停滞によって原油需要が緩和されるとしても、おそらく過去の不況サイクルのときほど激しくは落ち込まない。実際、最大の不確定要素は中国の継続する「ゼロコロナ」政策であり、世界石油市場で最大の成長原動力である地域にロックダウンの脅威をもたらしている。
供給側に関しては、楽観的になる理由がいくつかある。
OPECプラスは、余剰生産能力を1日当たり200万バレル程度に制限してきた。これは1日当たり1億バレルの世界石油市場にとってごくわずかだ。そしてこのほとんどがサウジアラビアとアラブ首長国連邦に存在している。先週末、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子は、バイデン政権の繰り返される懇願にも関わらず、産油量を増やしてバイデンを救済するつもりはないことを明言した。
現在の供給契約が9月に終了した後、OPECプラスがどのように行動するかは誰にもわからないが、グループ全体の余剰生産能力は中東湾岸諸国以外には事実上ない。現在OPECプラスの産油量は目標レベルより1日当たり300万バレル以上少ない。これは、ナイジェリア、アンゴラ、カザフスタン、エクアドル、マレーシアといった弱小メンバー国におけるいくつかの技術的、運用的、地政学的、および投資の問題による。