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2022.07.14 07:00

ガソリン価格とEVの価格は反比例の関係にあるが現在もEVは価格上昇中

歴史的に、ガソリン価格の高騰は消費者の電気自動車(EV)への関心を高めてきたが、ガソリンの小売価格が徐々に下がってきた現在も、EVの価格は新車・中古車ともに上がり続けている。

自動車販売と調査のウェブサイトCarGurus.comの調査によると、6月末時点の電気自動車の新車価格は6万ドル(約823万円)弱で、2月以来13%上昇した。中古EVの値上がりはさらに急で、2月から54%上がって6万2000ドルをわずかに超え、新車価格と逆転している。

電気自動車の価格を押し上げているのは、生産問題に直面する中での需要増だけではない、とCarGurusのディレクターで、業界アナリストのケビン・ロバーツはいう。

「ガソリン価格が上がり始めた時、費用対効果に優れたEVのほとんどがすぐに市場から消え去り、高額モデルが残っています。自動車メーカーはEVの価格を上げざるを得ません、なぜなら物価が上がっているからです」とロバーツは付け加えた。

中には、中古EVを買ってきては売り払って利益を得る者もいるという。

実際、EVと低燃費乗用車に対する関心は、ガソリン価格の上下に合わせて上下する。AAA(米国自動車協会)によると、7月11日のレギュラー・ガソリン国内平均価格は4.67ドル / ガロン(約169円 / ガリットル)で、先週より12セント、6月より32セント下がっているが、1年前と比べるとまだ1.53ドル高い。

これに合わせるように、CarGurusの調査結果もEVの新車・中古車に対する消費者の関心が、ガソリン価格の下落開始とともに減衰していることを示している。

全米自動車ディーラー協会(NADA)が7月11日に発表した第2四半期経済レポートによると、6月末までの自動車販売台数のうち、バッテリー駆動電気自動車が4.8%、ハイブリッド車が5.9%、プラグインハイブリッド車(PHEV)が1.4%をそれぞれ占めた。

これは電気自動車の生産需要を示す標識だが、購入しようとする消費者にはいまだに困惑がみられる。これは、かつて不況期にガソリン価格が急騰した際に燃費の良い小型車の購入に走った時のように、電動車への大がかりなシフトが起きるとは限らないことを意味している。

「業界にとって困難な状況です。数多くの電気自動車を市場に投入していますが、生産問題のために需要に答えるのが難しいでしょう」とロバーツは説明した。「中古車に関しては、市場に何台中古車が出回っているかにすべて依存しているので、思うように売ることができていません。在庫は限られています。需要はガソリン価格とともに上がりましたが、新車・中古車ともに需要が限られていることから、現時点でEVへの大がかりなシフトが起きることは期待できません」

結局、2年以上前に新型コロナが蔓延して以降、何もかもが正常ではないようだ。

AAAは、夏の旅行シーズンになってガソリン需要が高まっているにも関わらず、実際にはガソリン価格が下がっている異例の事実について、ガソリンの主原料である原油価格が1バレル当たり約100ドル下がったことで説明している。一般に、原油が安くなればガソリンも安くなる。

果たしてこのトレンドは、電気自動車の需要減少と価格低下につながるのか?

その可能性はある。しかしケビン・ロバーツが指摘するように、インフレや政府の刺激策の中止、その他の経済的圧力に苦しむ中、在庫と選択肢の減少に関わらず、「今や消費者はどんな価格であれ車に関心を持っていない」

翻訳=高橋信夫

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