バイデン大統領はガソリン価格高騰を責任転嫁、海洋採掘禁止の意向を維持

ジョー・バイデン米大統領とデブ・ハーランド内務長官(Getty Images)

ジョー・バイデン大統領が独立記念日の連休に向けてガソリン小売業者に送ったメッセージは、予想どおりあらゆる意味で対立的かつ非生産的だった。大統領府のツイッターアカウント担当者は7月2日に以下のメッセージを発信した。


「ガソリンスタンドを経営し販売価格を設定している企業への私からのメッセージはシンプルです。今は戦時中であり世界的危機なのです。仕入れ価格を反映させて末端価格を引き下げること。今すぐに」と@POTUSアカウントは伝えた。

こうして、大統領は脅迫的なツイートを発信することで、ガソリン価格を下げるために「全力で働いている」ように見えている。たまたま原油価格が過去2週間にある程度落ち着いてきたため、小売価格も落ち着きを見せている。AAA(米国自動車協会)によると、7月3日のレギュラーガソリン価格は4.81ドル/ガロン(約172円/リットル)で、6月14日の史上最高値、5.02ドル/ダロン(約200円/リットル)から21セント下がっている。

バイデン大統領の利己的ツイートに対して、アマゾン創業者でワシントン・ポストのオーナーであるジェフ・ベゾスは反応し、政権が責任転嫁しようとしていると酷評した。「あいたた。インフレは、ホワイトハウスがこのような声明を続けるにはあまりにも重要な問題だ。ツイートはまったくの見当外れか、基本的市場原理の根深い誤解のどちらかだ」とベゾスは自身のツイッターで述べた。

ベゾスの指摘はどちらも証明されているかもしれない。バイデン大統領は意図的に、自らの政権を石油市場を正しく理解していないアンチ石油・ガス活動家で固め、1年以上にわたり必死にガソリン価格高騰の責任を転嫁しようとしている。

大統領のツイートは、21セントの価格低下を自分たちの手柄にしようとするホワイトハウスの見え透いた策略だ。しかし専門家らは、価格低下の原因はさまざまな市場要因によるものであり、中でも迫りくる需要抑制不況に対する市場の憶測が大きいと反論するに違いない。しかし、フランスとノルウェーにおけるストライキとリビアでの戦争による供給途絶に加えて、OPECプラスが輸出拡大による市場への影響力を事実上失ったとする認識が広まったことで、先週末に憶測は打ち消された。

一方、ホワイトハウスが価格変動縮小の功績を手に入れようとする中、バイデン政権の上級政治任用官らはこの1週間を費やして国内石油・ガス産業を抑圧する行動を重ねた。EPA(米国環境保護庁)がテキサス州パーミアン盆地のオゾン濃度が基準を満たしていないことを宣言する意向を示したことに加え、デブ・ハーランド長官率いる米国内務省は、連邦水域内での石油・ガス採掘リースの五カ年計画試案の発表を、法令で定められた締切の翌日まで引き伸ばした。
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翻訳=高橋信夫

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