──アートとビジネスの関係、問いを発するアートに対して、何かのアクションを起こしてビジネスという関係性そのものですね。
アート×ビジネスにおいて、問いのあり方が簡素化されて語られてきたと思います。かっこいいもの、見ていてわかりやすいもの、というだけで問いがないものもあります。そういうものが売れたりしますが、僕はそれよりも、誰もわからないものに挑戦する人を評価したい。
今年、アルス・エレクトロニカ(オーストリア・リンツで開催されるメディアアートの祭典)でデジタルコミュニティのアドバイザリー・ボードをしているのですが、この部門はとても面白くて、アートという尺度の中で何か美しいかではなく、人間がテクノロジーを使って社会にどんな新しい問いと可能性を提示できるかに向き合っています。
別冊「ART AS AN ATTITUDE」でも取り上げているイギリスの調査機関「フォレンジック・アーキテクチャー」もそうですね。その活動はアートでもビジネスでもないけれど、社会の中で大事な問いかけをしている。そういう意味では、アートとして認められたくてやってる人よりも、やっている行為が自然とアートとして求められるようなものを、もっと見出していきたいという気持ちもあります。
それはアートに限った話ではなくて、さまざまな分野で自身の問いを持って活動している方々が多くいると思うのですが、そういった方々と仕事してきたいですね。