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2022.07.08 08:00

食と幸せの関係は? 味の素新社長に「ウェルビーイング」を聞いた

味の素社長 藤江太郎(左)とインテグレート社長 藤田康人(右)


藤田:心の健康や幸せについては、人はお金をもらったときに幸せになるんじゃなくて、「もらえるかも」と思ったときに幸せになるという話があり、なるほどと思いました。結果ではなく、その手前。つまり希望ですよね。それが幸せのカギではないかと思います。
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一方で、体の健康において、味の素の一番の強みはアミノ酸だと思いますが、今後、健康やウェルビーイングの文脈で、それをどのように活用していこうとお考えですか?

藤江:食品企業であればどこでも食と健康の課題解決を掲げられると思いますが、当社が志としているのが、「アミノ酸のはたらきで食と健康の課題解決をしていく」ということ。たんぱく質を構成するアミノ酸は20種類ありますが、そのはたらきを探求し、世の中に貢献する価値として活かし続けていることが味の素ならではと考えています。

例えば、「アミノインデックス」というサービスでは、少量の血液から血中にあるアミノ酸のバランスを見て、がんや三大疾病、あるいは認知機能の低下のリスクなどを評価し、その発見や予防の機会創出をサポートしています。
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このように、アミノ酸に関して真摯に研究を積み重ねていて、研究開発の要員数も日本企業の中ではダントツで多い。加えて、食の提案もできる。従業員の多くが、当社ならではの仕組みで「食と健康の課題を解決する」ことに誇りや喜びを感じているところに、私は「幸せの素」の循環を感じています。

藤田:昨今の世の中はタンパク質ブーム、プロテインブームですが、味の素のOBからすると「タンパク質じゃなくてアミノ酸だ!」と思います。もしかしたら、味の素はサイエンスの力も強いので、難しく伝わってしまっているのかもしれませんね。


インテグレート社長の藤田康人

藤江:実は、ある人から、「伝わったときが伝えたときだよね、藤江さん」と教えていただいたことがあるんです。伝えているつもりでもなかなか伝わらないのが世の常だと思いますが、では、どうやったら伝わるか。

生真面目な風土は守りながら、対グローバルも含め、コミュニケーションの力量を上げていかなければなりませんね。ワクワクするような方法で伝えていければ、我々が貢献できる人々の数が増え、幸せの素の循環がもっと大きくなっていくと思います。

藤田さんは昔から本当にこの辺りのセンスがありますよね。世の中がどう変化するのか、どういう潮流になっていくのかをしっかりと見据えて、人より早く、でも早すぎないタイミングで流れを作っていくということをされている。
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編集=鈴木奈央 写真=小田駿一

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