「JET STREAM」はTOKYO FMの前身である「FM東海」時代から放送されていました。「FM東海」は東海大学が行っていたFM実用化試験局です。同局が閉局するその日まで、「JET STREAM」は882回の放送を重ねています。
今ではおなじみとなっている「遠い地平線が消えて…」から始まるナレーションもFM東海時代にはまだ生まれておらず、日本航空の宣伝課員だった伊藤酒造雄がつくった「太陽が沈んでからもうずいぶん時が…」で始まる詞が使われていました。
「JET STREAM」はアメリカン航空提供の「Music ‘Til Dawn」のようなFM番組をつくりたいと思っていた伊藤に、FM東海で営業をしていた後藤亘が日本航空提供の帯番組企画を提案したことが出発点となっています。
しかし、番組開始後しばらくしてFM東海がFM実用化試験局の免許更新を認められなかったことでCMが入れられなくなり、「JET STREAM」は窮地に立たされました。放送開始から27年間半にわたって初代機長をつとめた城達也は、予算がないなか出世払いという実質ギャラ無料を願い出た後藤の申し入れを快く引き受けたそうです。
城は夜間飛行のお供をするパイロットという役になりきるためラジオにもかかわらず毎回スーツを着用し、スタジオの照明を暗くしたうえで収録に臨んでいました。長くリスナーの夜に寄り添ってきた「JET STREAM」は、番組にかかわる人々の強い思いに支えられて遥かな旅路をたどりながら今もフライトを続けているのです。
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