応募者追跡システムのメリット
AIを活用したテクノロジーと応募者追跡システムを活用することで、企業はリソースを節約しながら、募集ポジションに理想的にマッチする人材を見つけられることを望んでいる。
AIツールは以下のことを可能にする。
・採用チームが短時間で最大限の応募を処理できるよう支援する。スケジュール管理を自動化することで、人事担当者の時間を節約し、質の高い人材を確保できる機会を増やす
・要件に合わない応募者をフィルタリングする。人間が何百件ものレジュメをふるいにかけていると、エラー率が高くなる。採用担当者は、時間が経つにつれて集中力を欠き、見るべき重要な情報を見逃してしまうことがあるからだ
・候補者がHRチームから素早い応答を得られるようにすることで、候補者を取り逃がしにくくする
・運用コストの最小化。ATSは自動化されたタスクを実行できるため、企業の経営者や管理者はより価値の高い業務に集中することができる
応募者追跡システムにおける倫理的懸念
自動化されたプロセスの根本的な問題は、人間的な知性の欠如にある。ATSに人間の潜在能力や創造性を見分けることはできない。その結果、AI技術は本当なら望ましい人材を、履歴書や応募書類の構成が完璧でないという理由で排除してしまう可能性がある。
AIが有効かどうか、倫理的かどうかを考えるとき、最大の考慮点は「多様性」である。多様性、公平性、包括性(DE&I)は重要な労働力の構成要素であり、雇用主は雇用の偏りを排除しなければならない。たとえば、ATSは形式的に完璧な応募書類を作成するためのリソースを利用できなかった候補者を排除してしまう可能性があるため、また別の倫理的な懸念を引き起こす可能性がある。
パンデミックによって引き起こされた他の多くの停滞の中で、多くの女性や社会から疎外されたグループが、仕事がないことに気づかされた。こうした社会グループの状況は改善されつつあるとはいえ、社会的に疎外されたコミュニティの間で雇用回復は依然として不公平なままだ。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)による壊滅的な損失から経済的に回復しようと急ぐあまり、雇用主たちはATSやその他の自動採用システムの影響に対処してこなかった。
機械学習アルゴリズムは、しばしば体系的なバイアスを持ち、非倫理的な雇用慣行を生み出す。
・2018年には、アマゾンは自社のAIソフトウェアが女性からの応募を格下げし、女子大からの候補者を排除していることに気づいた
・2018年の研究では、Face++やMicrosoft AIなどの顔認識技術が、応募者の感情や性格の特徴を分析できることがわかった。たとえば、黒人男性には白人男性よりもネガティブな評価が多く割り当てられていた
・AIを用いた採用プロセスでは、プライバシーや保護に関する懸念が生じる。法律では雇用主は身体的障がい、精神的健康、年齢、性別、配偶者の有無について質問することはできない。そのような特定属性の情報は、採用の判断材料にはならない。しかし自動化されたシステムは、応募者の個人情報に無断でアクセスできる可能性がある