病気や障害のある子どもの持つ親の働きづらさを解消する インクルーシブな環境づくりとは?

Taiyou Nomachi / Getty Images

2018年、私は病気や障害のある子どもの外見ケアやメンタルケア、家族のケアにスポットを当て、医療の隙間にあるトータルケアを啓蒙する「チャーミングケア」という活動を開始した。きっかけは、2016年に3人兄弟の長男が小児白血病に罹患したことだった。

2020年には、医療的ケアに関連するグッズなどを集めた物販サイト「チャーミングケアモール」を事業化。サービスの運営上、さまざまなジャンルの病気や障害の知見が必要となり、マーケティングの面でもかなり苦労した。

そこで、病気や障害のある子供を育てているお母さんたちに「チャーミングケアアンバサダー」として有償で運営の手伝いをしてもらうようになった。2022年現在、7名ほどのお母さんに1カ月に20時間の稼働ということで事業運営に携わってもらっている。

どうして1週間ではなく1カ月単位なのかというと、みなさん子どもの看護のために日中まとまった時間を取るのが難しく、かつ通院などでも時間を要する。であれば、1カ月という長い期間のなかで20時間だけ、得意なことを活かして働いて貰えばいいのではないかと考えたのだ。

病気や障害がありいろいろ活動に制限が出て不自由を感じているのは当事者である子どもだ。しかし、それを日々介護している保護者たちにも、就労という部分において大きな制限がかかっていることを自分自身の経験も含めて強く感じている。

女性の社会進出であったり、働き方への配慮だったり、年々取り組みは進んではいると思うが、それは健常な子供を育てている保護者の生活がベースとなっている。子どもへの日々の介護が伴っていることはそもそも想定にないので、障害のある子どもを持つ親は、働くための環境整備については個人の努力のみで整えざるを得なかったのが現状だ。

そんななかで、こうした状況に関連したイベントを2つ紹介したいと思う。

1つは私が主宰する「チャーミングケアモールチャンネル」でオンライン配信した「#働くを諦めない 病気や障害のある子どもを育てる母親たちの『働き方改革』(昨年の8月21日に実施)と題したイベントだ。


#働くを諦めない 病気や障害のある子どもを育てる母親たちの『働き方改革』より

今井絵理子参議院議員や、龍円あいり東京都議会議員にもゲストとして登壇していただき、前回のコラム「病気や障害をもつ子どもを育てる 母親たちの『働き方改革』」でも取り上げた横須賀でインクルーシブ学童を運営している五本木愛さんにも参加いただいた。
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文=石嶋瑞穂

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