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2022.06.11 12:30

NTTが解決した「インディ500」の課題 ファン体験はどう変わったのか

4月10日に開催されたNTTインディカー・シリーズ第3戦(Getty Images)


NTTが今レースで提供したサービスは2つ。
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1. INDYCAR Data Insights:各種センサーからのデータに基づいたレース情報をファンにリアルタイムで提供

①レース戦略、順位予想、ピットストップ影響等の予測・分析
②TV放送局へのデータ流通によるファンへのリアルタイム情報提供
③予測情報は、Twitterによる配信も実施

2. NTT Smart Venue:リアルタイムな会場混雑状況の見える化、予測
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①会場内設置のカメラ映像解析による人流データ分析
②チケット改札データの分析による入場者数の分析
③モバイルアプリを通じた来場者への通知

「NTTは必要な存在」


コロナ禍、2020年のインディは無観客開催。2021年は40%の制限により観客数が13万人だったが、今年はそれが撤廃され30万人以上が押し寄せた。大観衆が安全にスムーズに入退場できるよう、これらソリューションは大いに役立った。

こうした取り組みについて、元F1ドライバーでもあり、インディカーの名門ペンスキー・レーシングも傘下に収めるペンスキー・コーポレーションのロジャー・ペンスキー会長は「データが重要な今、インディカーの将来のためにもNTTは我々に必要です。こうした新しい潮流は、(モータースポーツと)ファンとのエンゲージメントを新しい方向に導くでしょう」とコメント。

NTTグローバルビジネス推進室の栢哲之(かや・のりゆき)担当部長は今回の取り組みの将来について次のように語った。

「サーキットに入ってからお帰りになるまで、すべての観戦体験を豊かにすることが目標です。こうしたリアル観戦がメタバース空間でも実現できないかと、夢見ています」

私自身、NTTドコモ時代には三重県の鈴鹿サーキットで支社メンバーなどと「スマートサーキット」の実現を試みた。しかし得意の通信インフラが敷設されたに留まり、少々落胆した記憶がある。現在は、スーパーフォーミュラの車載カメラもライブ配信可能となったようだが、インディアナポリスでの取り組みが早期に鈴鹿や富士スピードウェイに着地しないものかと心待ちにしている。

NTTグループは2018年、ネバタ州ラスベガス市とスマートシティ推進について合意。同市では2017年に58人の死者を出す「銃乱射事件」が発生。全米の乱射事件の中で死者数が最多となった衝撃ゆえ、「治安に対する意識が高く、NTTが取得したデータなどを警察や消防に提供し街の安全確保に活用されている」と栢担当部長は語る。今回のインディにおける各ソリューションの具現化は、ラスベガスでの取り組みをフィードバックしたことによるものだ。

NTTの「スマートワールド」は、こうして海外に先行している。閉塞感あふれる日本国内でもスマート化が早期に実現されないものかと、勝手に胸を踊らせてしまう。日本を代表する企業としてNTTには、ぜひこうしたワクワクさせるユーザー体験を、次々と世の中に送り出して欲しい。

文=松永裕司 編集=露原直人

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