今秋Apple Watch、iPhoneはこう進化する、発表会から見えてきた次の新製品

アップルが開催した世界開発者会議「WWDC」の様子


次期watchOSはユーザーのヘルスケアデータとより深くつながる


2020年春から新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが世界に広がり、人々が自身の健康管理に目を向けるようになった。そしてスマートウォッチなどのヘルスケアデバイスも脚光を浴びた。この機会にApple Watchを購入して、自身の健康管理や維持・増進を中心に役立てているユーザーが筆者のまわりにも多くいる。

次期watchOS 9には、Apple Watchユーザーの健康管理により深く踏み込む新機能が加わる。例えばユーザーが自身の体力づくりに適したメニューを自分で、あるいはトレーニングを支援するコーチの助言を得てカスタマイズしながら設定できる「カスタムワークアウト」がある。

Apple Watchをランニングに活用している方には、ウォッチが解析する「歩幅の長さ」「接地時間」「上下動」などを「ランニングフォーム指標」としてワークアウトアプリに表示する機能が役立つと思う。

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watchOS 9では「ワークアウト」アプリの機能が大幅に充実。トレーニングの詳細なデータをモニタリングしたり、フィットネスアプリに成果を蓄積できるようになる

watchOS 7から「ヘルスケア」アプリに睡眠トラッキングが追加された。次期watchOS 9には、Apple Watchに内蔵する加速度センサーと心拍数センサーが集めた信号から、ユーザーの眠りの深さを解析する「睡眠ステージ」が新設される。

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watchOS 9に追加される新機能「睡眠ステージ」。Apple Watchが内蔵する加速度センサーと心拍数センサーからの信号を使って、ユーザーがレム睡眠、コア睡眠、深い睡眠の状態にあることを検知する

新機能が誕生した背景には、Apple Watchに内蔵するセンサーやアルゴリズムの精度について、アップルがブラッシュアップを絶えず続けてきたことのほかに、米国を中心とする医療・研究機関との連携によるデータの知見を活かせたことがある。

米国ではiPhoneやApple Watchなどデバイスを使う一般のユーザーが、自身のヘルスケアデータを研究目的のため医療・研究機関に提供するためのプラットフォームとしてアップルが「Research」アプリを公開している。

科学的データの蓄積がまだ少ない人間の「睡眠」に関する研究を、アップルは今後も研究機関、および一般に広く普及するデバイスのユーザーと連係しながら深めていく考えだ。睡眠に関連する知見が充実すれば、ストレスやアルコール、カフェインなどの外的要因が睡眠習慣にもたらす影響や変化なども容易に把握できるようになるという。

心電図アプリと電気心拍センサーを内蔵するApple Watchは、不規則な心拍の通知機能によりユーザーの心房細動(AFib)の兆候を特定できる。ユーザーの心臓の健康を見守る機能もまた、watchOS 9以降から心房細動履歴計測として拡充される。
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文=山本敦

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