2019年にForbes JAPAN「30 UNDER 30」に選出された村木氏は、2020年に一般社団法人炭素回収技術研究機構「CRRA(シーラ)」を設立。現在は、学生として東京大学に通いながら、同代表理事・機構長として二酸化炭素の研究に情熱を傾けている。
二酸化炭素回収マシンはいよいよ“最終形”に
村木氏は2017年に広島大学と共同研究を行い、二酸化炭素から石油成分のひとつである天然ガスを直接合成することに成功を収めた。現在はその研究成果を基点に、二酸化炭素から液体燃料や軽油を直接生成する研究を進めている。
彼の研究テーマは一貫して、地球環境の温暖化を止めるため「二酸化炭素から有機化合物を生成する」ことだ。
二酸化炭素を空気中から直接回収するために開発したデバイス「CARS-α」、通称「ひやっしー」は、2020年4月から一般販売を開始した。日本国内には本機を活用して二酸化炭素を集める個人・法人のユーザーが増えている。
ひやっしーに内蔵されているカートリッジに蓄積された二酸化炭素は、CRRAが回収して、軽油の代替燃料「そらりん」に変換する原料としたり、二酸化炭素からつくる化粧品の技術研究にも役立てられる。
CRRAの超小型CO2直接回収装置「ひやっしー」
今年1月に、CRRAは最新第4世代のひやっしーの販売を開始した。村木氏が「ひやっしーの最終形」と語るモデルでは、システムの完全クラウド化を実現。ユーザーがWebサービスの「Hiyassy Web」にアクセスして、遠隔地から回収した二酸化炭素の量をグラフや数値により確認できる機能を加えた。
ほかにもひやっしーを動かす電源をソーラーチャージにより蓄えたり、二酸化炭素を集めることで回収量に応じたマイルが貯まり、ユーザーが仮想通貨による消費行動が行える「ひやっしーマイル」への道筋をつくった。今年は欧州に展開する計画もあるという。
プログラム開発も、フライトの訓練も
村木氏は日々発展する研究活動の中で、どのようにMacなどアップルのデバイスを活用しているのだろうか。現在メインマシンとして使っているのは、2020年後半に発売されたアップル自社設計のM1チップを搭載する13インチのMacBook Proだ。