高校2年生の頃に初めてMacに触れた村木氏は、以来、「独学で学んできたというプログラミングの作業にMacが欠かせない」と話す。
軽量でスリムなMacBook Proをいつも持ち歩き、ラボでは複数のディスプレイをケーブルでつなぎ、同時にいくつものアプリケーションを立ち上げながら仕事に打ち込んでいる。
M1チップ搭載のMacBook Proはマルチタスク処理を速やかに、かつ冷却システムがうなりを上げることなく静かに安定したままこなせるところにも村木氏は信頼を寄せている。
ラボの内外、あらゆる場所で村木氏の研究活動をサポートしている最新のApple M1チップを搭載する13インチのMacBook Pro
CRRAでは空気中の二酸化炭素を集めて、石油に代わる液体燃料を合成するための「そらりん計画」という研究プロジェクトを進めており、村木氏は自身が飛行機を操縦しながら実証実験に携わるため、航空機の操縦資格を取る準備をしている。
技量を落とさないためにはフライトシミュレーターによる訓練を欠かせないため、CRRAのラボには村木氏自身が訓練を行うための設備があり、そこでは、iPadがフライトシミュレーターの計器を表示するためのコントロールパネルとして活用されているという。
ひやっしーを中心に広がる「二酸化炭素経済圏」
最新の第4世代のひやっしーは、ユーザーが集めた二酸化炭素の量を見える化するWebサービス「Hiyassy Web」に対応する。ソフトウェアのプログラム開発はCRRAの業務において重要なウェイトを占めている。村木氏は自身もまたスタッフと一緒に、日々、macOS標準の開発環境ツールである「ターミナル」を立ち上げてプログラム開発に汗を流しているそうだ。
ひやっしーのユーザーが集めた二酸化炭素の量をグラフや数値で可視化できるWebサービス「Hiyassy Web」の画面イメージ
社内にはMacユーザーが多くいることから、アップルのデバイスどうしでセキュアにデータを共有できるAirDropの機能が活用できることも、分刻みで進行する仕事の効率化を図るうえで大事なメリットになっている。
村木氏はブロックチェーンや仮想通貨の技術を組み合わせて、「ユーザーが集めた“ひやっしーマイル”による消費行動が行える二酸化炭素経済圏を、CRRAとして2023年に実現することを目指している」と話す。
消費者が購入代金を支払う際に、法定通貨に加えてその商品の製造や運搬に要したCO2に相当する「二酸化炭素マイル」を支払わないと購入ができないという、カーボンニュートラル社会の基盤を担う新しい経済の仕組みで、この提案に現在、日本のほか欧州の行政機関が興味関心を示しているという。