CRRAでは、二酸化炭素の研究成果を、地球の温暖化防止から、人類による火星移住の実現にまで幅広く応用している。同社の航空宇宙局では現在、成層圏探査機「もくもく計画」を進行中だ。
近く予行探査機の役割を担う「もくもく2.5」に始まり、続いて無人の最終試験機「もくもく3」、そして村木氏自身がクルーとして乗り込む有人成層圏飛行探査機「もくもく4」の打ち上げを順次計画している。
もくもく4は、直径35メートル前後の大きな気球のような乗り物に飛行士を乗せるスペースを設ける探査機だ。村木氏たちが“宇宙の入り口”と呼ぶ、一般の旅客機が飛ぶよりも2〜3倍高い高度21kmの上空に到達して、有人探査を行うことを目指している。推進剤にはヘリウムを使用するが、将来は上空を移動するためのエンジンを取り付けて、二酸化炭素から生成した燃料で動かすことも視野に入れている。
クールな科学者への憧れ
奇想天外にも聞こえるCRRAの挑戦を終始熱っぽく、そして丁寧に語る村木氏。今回アップルのCMに出演を決めた理由については、「科学者への憧れ」があるという。
「私自身が根っからの文系出身ということもあって、科学者は魔法使いのような存在であるという憧れを抱いています。だからこそ科学者はクールでスタイリッシュ、魅力的な存在であることをアピールしようという使命感を持って撮影に挑みました。私がかっこよくMacを操りながら研究に打ち込む姿をぜひ見てください(笑)」
小学生の頃から長く二酸化炭素の研究に取り組んできた村木氏も、現在のように好きな研究に没頭できる環境を勝ち取るまでに様々な困難に直面してきた。科学者として経験と知識を積み上げても、国内では年齢相応の学歴までしか持てないため、アカデミアの世界では悔しい思いもしたそうだ。
「これから科学者への道を目指す若い方々は、Macのようなデバイスを強力な武器・鎧にして、大きな舞台で活躍してほしい」とエールを送った。