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2022.06.02

全国各地でビジネスアイデアが続々! いま応援したいローカルイノベーター15選

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日本中で、地域の資産や固有の技術を生かしたユニークな新規事業に挑戦する企業が増えている。編集部が注目する地域発のイノベーターたちを、モデルごとに一挙公開しよう。

ADDED VALUE 付加価値型モデル


旧来あったものに対して、デザインや用途など、市場から求められる新たな価値を加えて世に送り出すモデル。

山崎一史|アックスヤマザキ|大阪府吹田市

──「一家に一台」のミシンをもう一度

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アックスヤマザキは1946年創業の家庭用ミシン専門メーカー。大手メーカーへのOEM生産で成長したが、ミシン市場は1990年代後半から年々縮小。赤字転落した2015年に経営を引き継いだ3代目の山崎一史は、既存事業に固執せず、自社ブランドの新商品開発に舵を切った。

現代に求められるミシンとは何か。消費者が求めるものを追求した結果、生まれたのが、おもちゃ感覚で遊べる子供用ミシン「毛糸ミシンHug」だ。2020年には、子育て世代の親が簡単に使える「子育てにちょうどいいミシン」を開発し、コロナ禍の巣ごもりやマスク需要が追い風となりヒット商品に。山崎は「一家に一台」のミシンがある世界観をもう一度再現しようと奮闘している。

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山崎一史◎1978年、大阪府生まれ。2005年に家業のアックスヤマザキに入社し、15年に代表取締役就任。グロービス経営大学院大学で経営学修士(MBA)を取得。

福田正彦|丸五|岡山県倉敷市

──地下足袋の現代化で文化伝承

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日本固有の足袋文化をかたちを変えながら伝承させようとしている老舗メーカー。祭事用地下足袋の全国シェアは約50%を誇る。もともと伝統的な地下足袋・安全靴を主力としていたが、近年はカジュアルでデザイン性に優れたスポーツ用、健康用などの新領域を開拓。足袋型シューズの開発・販売に力を入れている。地下足袋をベースとした機能性・ファッション性の高い商品は、若者や女性にも受け入れられはじめている。

2019年には、東京・日本橋にアンテナショップ「MARUGO TOKYO」をオープンしたほか、オンラインショップを通じて海外にも販売。健康用・介護用などのシューズも展開しており、健康志向の高まりや高齢人口の増大から需要を見込む。

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福田正彦◎1955年生まれ。高崎経済大学経済学部卒。78年、中国銀行入社。同行常務取締役まで歴任し、2019年に丸五取締役副社長。20年、代表取締役社長に就任。

岡田久幸|タケックス・ラボ|大阪府吹田市

──竹の除菌剤でハラル市場開拓

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衛生意識の高まりを受けて、飲食店や学校、病院、公共施設など、あらゆる場所で利用されているアルコールを使った除菌剤。しかし、その利用がなかなか進んでこなかった領域がある。ムスリム市場だ。アルコールの使用を認めていないイスラム教の戒律に沿った商品を供給するには「ハラル認証」の取得が欠かせないという事情がある。ここに目をつけたのが、竹がもつ品質保持効果を長年研究してきたタケックス・ラボだ。

竹の表皮に含まれる有効成分を組み合わせた独自のエタノール衛生剤で、2016年に世界一厳格といわれるマレーシアイスラム開発局(JAKIM)のハラル認証を取得。コロナ禍の影響もあり、マレーシアを中心にムスリム市場で実績を伸ばしている。

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岡田久幸◎1963年、高知県香美郡生まれ。81年、竹細工を手がける家業の蜂の巣工房に入社。2002年、タケックス・ラボを設立し、代表取締役に就任。
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文=フォーブスジャパン編集部 イラストレーション=ジョン・デヴォル(フォリオアート)

この記事は 「Forbes JAPAN No.092 2022年月4号(2022/2/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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