昔「慶應SFCのV6」、今「跡継ぎ仲間」。30年越しの友と語る家業のこと

左・鶴正雄(NOK代表取締役社長)、右・近澤柳(近澤レース店執行役員)。母校である慶應義塾湘南藤沢中等部の教室にて。

ビジネスリーダーの私的な交遊を通して、彼らの“裏の顔”に迫る連載「エグゼクティブ異種交遊録」。

今回は、日本初のオイルシールメーカーNOK3代目社長の鶴正雄と、横浜の老舗レース専門店「近沢レース」5代目にあたる近澤柳が登場。中学時代からの同級生で、ともに家業を継ぐ立場。かつて「慶應SFCのV6」と呼ばれた2人の絆を探る。


青春を共に過ごした30年来の“悪友”と、また楽しさを共有したくて。



ちかざわ・りゅう1980年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、トゥモローランドに入社しセールスを担当。2006 年に近澤レース店に入社。現在は執行役員、営業統括本部長として、兄・弟ととも に創業120年の家業を支える。

近澤 柳:幼稚舎のしがらみが嫌で、内部進学せずに当時新設された慶應義塾湘南藤沢中等部に進み、そこでマサオ(鶴正雄)に出会いました。

彼を一言で言うと「お茶目な天才」。勉強もスポーツもできて、華があり、学内で一二を争うモテ男。斜に構えていて、学校行事に一生懸命になるのはカッコ悪いと思っているタイプ。一方の僕は、部活にも行事にも全力投球、真逆のキャラでした。

ある時、球技大会を遠巻きに眺めているマサオを無理やり引っ張り込んだら、バスケで大活躍して準優勝に導いてくれた。以来、どんどん巻き込んで、一緒に遊び、随分悪さもしました(笑)。


中高時代を過ごした学び舎で、 愛用のスキーとスノーボードを手に。当時のやんちゃな顔が覗く。

あれから30年。いま、2人の共通の趣味は、手つかずの自然が残る雪山を自力で登って滑り降りるバックカントリー。自分が楽しいと思うことを共有したくて、一緒に行こうと誘って巻き込みました。


整備されていない山野を自分で登り、スキーやスノボで滑走するバックカントリー。

僕のキャンプは、なるべく道具を持参しないエクストリームスタイル。登山で緊急ビバーク(野営)できるように研究したのがきっかけで、薪を拾って火を起こすところから始めます。スキルと知識が増えると、道具がひとつ減らせるんです。いまはバックパックひとつで野営できるようになりました。

自然には勝てません。共生が大切だということを、雪山が教えてくれました。


幼少期から父にスキーの特訓を受け、高校スキー部出身の兄の教えも仰ぐ近澤の腕前は相当なもの。(写真/近澤提供)
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文 = 松下久美 写真 = 若原瑞昌

この記事は 「Forbes JAPAN No.093 2022年月5号(2022/3/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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