ハイエンド・ブランディング・プロデューサーの山田理絵が、鎌倉にある「BLACK CUBE」にハイエンドな価値を提供しているトッププレイヤーを迎え、ビジネスの高付加価値化のヒントを聞き出す対談連載。
第6回は、スーパーヨットで世界を旅する超富裕層を迎えているSYL Japanの稲葉健太代表に、スーパーヨット客の受け入れが生むビジネスチャンスや、日本が持つポテンシャルについて聞いた(このトークの対談全編はこちら)。
山田:知られざるスーパーヨットの世界ですが、オーナーはどのような方々ですか?
稲葉:一番多いのはアメリカ、続いてヨーロッパ、アジア、ロシアの方です。世界的なスーパーヨットのオーナーと言えば、オラクル創業者のラリー・エリソンや、マイクロソフトの共同創設者の故ポール・アレンなどが有名です。先日はシンガポールの大富豪や、老舗時計ブランドの創業一族が日本を訪れました。
IT系の若い社長が訪れた際は、広島で土砂崩れが起きて観光ができなかったのですが、「自然に対しては何もできない。俺らはゲームがあれば幸せ」と言ってくれました。聡明で理解のあるオーナーが多い印象です。
山田:そういう人だから成功できたのかもしれませんね。年間に何隻くらいが日本に来るのでしょう?
稲葉:コロナ禍前の2019年は19隻でした。数でみると少なく感じるかもしれませんが、スーパーヨットにおいて大切なのは滞在日数です。2016年から増え始め、オリンピック開催予定のあった2020年には33隻の来日予約がありました。滞在日数も伸びており、2019年は全体で約800日となっています。1隻が1日に落とす金額が100万〜200万円なので、滞在日数が伸びるほど経済効果が大きいと考えられます。
山田:スーパーヨットは燃料がかなりかかるのと、たとえ乗客が夫婦だけでも、クルーも含め40〜50人の大所帯になるので、1日あたりの消費額が大きいと聞きます。特にどんなことにお金が落ちるのでしょう?
稲葉:主に、燃料、船の修繕、ヘリコプターなど国内の交通です。それ以外では、やはり食材やお酒。初めて石垣に来島した方が石垣牛を300キロ購入されたこともありました。意外なところだと、お花ですね。「地元の花を各部屋に置きたい」と、花屋のお花をすべて購入される方もいました。
もちろん、レストランやアクティビティなど観光関連の消費も大きいです。ダイビングひとつにしても、ガイドや傭船料など多岐にわたるのがスーパーヨットの利点です。