宇宙視点で食問題を解決する 「ジオ・ガストロノミー」への期待

shutterstock.com

2021年12月、日本の民間人として初めて、実業家の前澤友作氏が宇宙旅行を楽しんだ。私たちも宇宙の旅が楽しめる時代が来るのかもしれない、という夢を与え、宇宙が一歩身近になったと言える。

それから約2カ月が経った2月20日。米バージニア州にあるNASAワロップス飛行施設から、国際宇宙ステーション補給船が発射され、国際宇宙ステーション「ユニティ」に、宇宙俯瞰思考で食の生態系を考える「スペースSAGA」のQRコードパネルが設置された。



近年の環境問題やコロナ禍で、私たちは良くも悪くも、国境というボーダーも、それを超えてつながっていることも強く感じさせられた。地球規模の問題に国が個別で対応しても、その効果は限定的だ。

それを、宇宙からの視線で「一つの地球」として捉え、誰もが関わりのある食という切り口で解決に取り組もうという考えが「ジオ・ガストロノミー」。今回、宇宙空間に設置されたこのQRコードは、ジオ・ガストロノミーの視点からの問題提起の象徴でもある。

その立役者の一人が、「フードロスバンク」代表の山田早輝子氏。フードロスバンクでは、食料問題の解決のためには、廃棄食材を減らすことが大切だと考え、レストランや食品メーカーと協調して「ロスフード」と呼ばれる食材の価値を高め、生かす活動を行なっている。

山田氏がガストロノミーに関わる活動を始めたのは、2011年のこと。フランスに本部を持つ国際ガストロミー学会の理事長で、スペイン王立ガストロノミー学会会長のラファエル・アンソン氏に、アジア初の設立代表として任命されたことが起点となる。

以降、国際ガストロノミー学会公認団体、日本ガストロノミー学会の代表として、食分野での専門知識やネットワークも生かし、食を通した社会問題の解決に取り組んでいる。

この春には、長年にわたる活動が評価され、スペインで最も名誉ある賞の一つ「ラ・カトリカ女王勲章・エンコミエンダ章」を叙勲。スペイン国王の名のもとに授与される、皇后雅子様やイギリスのヘンリー王子にも贈られている勲章だ。


次ページ > 宇宙と食の共通点

文=仲山 今日子

ForbesBrandVoice

人気記事