なかでも「クリスピー・ファンタジー(Crispy Fantasy)」は、一般消費者たちに向けて、自社製品は初の「junk-free, hassle-free(ジャンクでなく手間いらず)」な朝食用シリアルだとアピールしている。起業家のラファエル・ナウム(Raphael Nahoum)とアンドレア・ロドリック(Andrea Rodrik)が誕生させたシリアルブランドで、直販ならびにアマゾンUKで新発売された。
第一弾はチョコレート味で、無糖ココアパウダーを使用しており、1食あたり8gの植物由来たんぱく質が摂取できる。砂糖含有量は、既存の有名ブランドの市販商品と比べると50%以上も少ない。
同社によれば、「英国には実に巨大な市場機会がある」という。朝食用シリアルとオートミールの消費量が増加傾向にあるためだ。そうした状況は、より成熟した米国市場を反映している。米国ではこのところ、Magic SpoonやKreatures of Habit、Yishiといったブランドが誕生し、こうした流れをけん引している。
統計サイトのスタティスタによると、英国の朝食用シリアル市場は29億ドルの規模と推定され、売上と消費量がともにここ数年、上向いている。とはいえ、英国政府が、脂肪分や塩分、糖分の高いものを中心に「不健康な食品」に対する規制を強化しているなかで、朝食用シリアルの大手ブランドへの風当たりは強まる一方だ。
10月に施行される新たな規制には、不健康な食品について、21時前のテレビCM放送禁止や、食料品店での陳列の制限などが含まれている。こうした措置は、子どもの肥満や、糖分の過剰摂取による疾患に直接働きかけるものだと、英保健・公的介護省は過去に強調していた。しかし、この規制案が2021年に作成されて以降、老舗ブランドのケロッグなどからは批判の声が上がっている。
「ライス・クリスピー」などを販売するケロッグは、新たな規制は根拠を欠くと主張し、政府に対して裁判を起こすと発表した。同社は、シリアルとともに摂取する牛乳やヨーグルトなどの栄養素も考慮すべきだとも主張している。シリアルそのものだけが食されることはめったにないからだ。