ナイキが買収したRTFKTベンワ・パゴットが語るWeb3と日本への愛


Web3 = オーナーシップ、コミュニティ、インディペンデント


私が3月に参加したNFTカンファレンス『NFT.LA』ではWeb3時代の特徴について多く語られていた。Forbes JAPANコラムでもアニモカ・ブランズの代表ヤット・シウ(Yat Siu)の言葉を紹介させていただいたが、Web2とWeb3では、人々のマインドセットも変わり、企業の消費者との関わり方が変わることをうっすらと感じ始めている人も多いだろう。

Web3時代の寵児の1人であるベンワに、Web2とWeb3とのマインドセットの違いを教えて欲しいと言ったところ、Web2とWeb3は「水と油」くらい違うので、混ぜて使うのは難しいとの答えが返ってきた。

「Web2はWeb3とは全く違うものです。 タダでモノが手に入る代わりに、プライバシーやデータを提供するのがWeb2、その結果eコマースやソーシャルメディアプラットフォームが広告だらけになります。

Web3の特徴はオーナーシップ(所有)、コミュニティ、インディペンデント(独立心)です。一度、Web3に触れると、もう元には戻れない中毒性があります。コミュニティもWeb2とWeb3では性質が違います。Web2のコミュニティはコメント数で測られましたが、Web3はオーナーシップが大事になります」

これは私自身も強く感じるものである。Web3のコミュニティの中では、自分もコミュニティを作り上げるメンバーであるという覚悟と態度が必要になる。Web2時代のFacebookコミュニティに参加する感覚で複数Web3コミュニティに参加すると、責任感を求められることが多くとても回らない。自分が大切だと思うコミュニティを育てていく感覚がとても必要となる。

現在、企業のマーケティング活動としてもコミュニティ活用が大切である、とは言われ始めているが、Web2感覚のコミュニティ活用とは訳が違うことを肝に銘じた方がよさそうである。「デジタル時代のLVMHを目指す」 RTFKTに、既存ブランドがWeb3コミュニティに参加するヒントを教えてもらった。

「既存ブランドは、これまでとは違う考え方をする必要があります。現在、Web2プレイヤーは『自分のブランドやコミュニティをどうやってWeb3に持ち込もうか』と考えていることが多いですが、それは間違ったアプローチだと思います。

なぜなら、Web3マーケットはまだ非常に小さく、考え方もWeb2とは違うから、既存のブランドやコミュニティをそのまま持ち込むことはできません。それよりも、Web3から得たものを、どうやって既存のWeb2コミュニティに還元するのか、を考えた方がいい。ステップ・バイ・ステップで、既存のコミュニティをWeb3に慣れさせてから統合していくようなアプローチが望ましいのではないでしょうか?」
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文=西村真里子

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