消費ではなく、投資の時代へ
企業のマーケティング活動が変わり、広告の在り方も変わりそうである。Web3時代にブランドが進むべき道はどういうものなのか?
インフルエンサーマーケティングやペイドプロモーションなど、既存のマーケティング手法がWeb3へ引き継がれているケースもあるが、Web3ならではのアプローチをしている企業も出てきているという。それは、アバターを会社のアイデンティティとして使っているケースである。今まではタレントやセレブリティーに広告予算をつけていたものを、企業自らアバターとしてコミュニティに参加し、オーガニックなマーケティングを行うという。参加しているコミュニティに対して企業アバターが価値を提供すれば、コミュニティ自身が企業のためにマーケティングを行い、ブランドに変わりライフスタイルを広めてくれるというのだ。
未来のブランドは、エコシステムを構築できるブランドである、とベンワは断言する。いままでのように市場調査ベースのブランド構築や、書き込み数やビュー数で判断するだけのコミュニティではなく、価値を生み出すクリエイティビティ溢れるエコシステムを生み出すブランドが未来のブランドというのだ。
「Web3では、信頼が鍵になります。その企業/ブランドの社員は信頼できるのか? 製品は信頼に足るものか? 消費者は単なる消費者ではなく、消費イコール投資という姿勢にシフトしていきます。投資してもらえるブランドが未来のブランドとなります」
ハイブ・マインド(HIVE MIND)でコミュニティを育てる
RTFKTが正式に活動を始める2020年1月以前から、RTFKTがInstagramやDiscordを使って実施していたのが若手3Dアーティストを発掘するコミュニティ活動である。最初は200人にも満たないコミュニティだったというが、若手アーティストたちにチャンスを提供し、存在を世の中に広めていくことを行っていた。それが直近の「RTFKT – MNLTH (モノリス)」にもつながっていく。
毎日RTFKTがお題を出し、若手アーティストたちが協力しながら作品を作り上げ、成果としてNFTをゲットできるというものだ。毎日アーティストが作る作品をツイッターで紹介していくことにより、若手アーティストが成長する機会を作っているとも言える。村上隆もRTFKTがNIKEと実施するCryptokicksプロジェクトに参加する若手アーティストの作品をInstagramでシェアをし、次世代アーティスト育成のエコシステム作りの一員となっていることも喜ばしく教えてくれた。
彼はRTFKTのコミュニティ活動を、ハイブマインド(HIVE MIND=集合精神)の法則に沿っているものだ、と語る。
ハイブマインドはアリやハチなどが集合し、超個体となった時に発揮する知性のことを指すSF概念とされているが、RTFKTが作り上げるコミュニティはハイブマインドを発揮した超クリエイティブな存在を目指しているという。RTFKTが目指すメタバース / 新世界は、少人数では達成できないゴールなので、ハイブマインドを意識するのも納得できる。そして、「未来とは“世界を構築すること”です。そのためには最高級のコミュニティが必要で、それはRTFKTとClonesにあると言えるかもしれない」とも語る。
コミュニティについて語っている時にベンワは「自分が死んだとしてもコミュニティが残ることを意識して、永続可能なクリエイティブ・コミュニティを目指しているんだよ」と、胸が熱くなる言葉を残してくれた。