ビジネス

2022.05.12 07:30

議事録のレベルでスキルがばれる。ビジコミュに必須の3つのアプローチ

ビジネスに有用なコミュニケーションを分解すると見えるポイント/photo by Shutterstoock.com


議事録は、会議の参加者の発言を逐次起こすものではなく、脱線した議論や発言者のもって回った言い回しなどを削り、誰が何を話したか的確な文章で記録するものです。まとめ慣れると議論や発言のポイントを即座に抽出できるようになったり、懸案事項が結論に辿り着かず曖昧な形で収束したりしてもすぐに気付けるようになります。
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議事録は本来、過去に行われた議論の内容を振り返るために残すものですが、話の要点を掴み簡潔な文章を書くトレーニングにも有効なのです。

論理的な文章は「三段論法」を基本に


どんなに結論が正しくても、論理に矛盾や飛躍があれば周囲から支持を集めたり、共感を呼んだりすることはできません。説得力のあるビジネス文書を書くためには、まずは論理を支える文章の構造をよく理解することが必要です。

次の問をご覧ください。
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●論理の初歩的な例題


<Q2>「株式会社Xは幼児教育市場に参入すべきだ」という主張に対して、以下に書かれている1から3が論拠として適格でない理由を考え、厳密な論証を成立させる条件を提示してください。論拠の数は3つとは限りません。


<Answer>
当社は幼児教育市場に参入すべきだ
なぜなら……
1. 幼児教育市場は今後拡大する見通しだ
2. 幼児教育市場では高い利益率でのビジネスが可能だ
3. 幼児教育市場では競合他社よりも顧客に選ばれるようなビジネス展開が可能だ

一見、筋が通っているように見えるかも知れません。しかし「なぜなら……」以下の3つの理由は、株式会社Xが幼児教育事業に参入すべき理由の説明としては十分ではありません。結論を補強する論拠が抜け落ちているからです。

1:幼児教育市場は今後拡大する見通しだ

▼ 抜け落ちている論拠
→どれくらい市場が伸び、どの程度の市場を取れる見込みがあるか?
→なぜそれが同社に可能なのか?

2:幼児教育市場では高い利益率でのビジネスが可能だ

▼ 抜け落ちている論拠
→利益率の高いビジネスを行う条件とは何なのか?
→なぜそれが同社に可能なのか?

3:幼児教育市場では競合他社よりも顧客に選ばれるようなビジネス展開が可能だ

▼ 抜け落ちている論拠
→どんな事業なら利益率の高いビジネスが可能なのか?
→なぜそれが同社に可能なのか?

<Attention!>

仮にこの3つの論拠が事実だとしても、命題を説明するには不十分です。普遍的な事実(大前提)を踏まえ、主張を裏付ける具体的な証拠や理由(小前提)を示しながら結論に導く「三段論法」をうまく使えば、確度の高い推論が可能です。

●三段論法の基本構造
大前提 AはBである(一般論など普遍的事実の提示)

→「ある市場が1,2,3の3条件を満たす際、株式会社Xはその市場に参入すべきである」

小前提 BはCである(主張を裏付ける具体的事実の提示)

→「幼児市場は1,2,3の3条件を満たしている」

結論 ゆえにAはCである(伝えたい主張)

→「ゆえに株式会社Xは幼児市場に参入すべきである」

「会社から近くて食べログの点数が高いのでその店に行こう(選定要件の省略)」、「雨が降っているから中止にしよう(開催条件の省略)」など、日常生活では「大前提」のコンセンサスが複数あり省略しても問題ない場合が多いです。しかしビジネスの場では「大前提」は大事なプロセスですので見落としのないようにする必要があります。
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文=中村健太郎(アクセンチュア)

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