ビジネス

2022.05.12

議事録のレベルでスキルがばれる。ビジコミュに必須の3つのアプローチ

ビジネスに有用なコミュニケーションを分解すると見えるポイント/photo by Shutterstoock.com

前回『コンサルタントが実践、成果につながるコトバのスキルの磨き方』のコラムでは「日本語」「論理」「コミュニケーション」の3つを磨くことがビジネススキルの向上につながると書きました。今回は前回出題した例題の回答を交えつつ、具体的な取り組み方を紹介します。

分かりやすい日本語は「議事録作成」で磨け


オフィスワークを主とするビジネスパーソンは、日々プレゼンや会議のために多くの文章を読み書きしています。その中で、一読しただけでは理解できない文章に出会ったことがあるはずです。逆にあなたが書いた文章が人から分かりづらいと指摘されたことがあるかも知れません。

理解しにくい文章にはいくつか種類があります。具体性に乏しく書き手の意図が汲み取りづらい文章や、修飾語と被修飾語の関係が複雑過ぎる文章、主語と述語がねじれている文章などです。

では、次の問に挙げた例文についてはいかがでしょうか。

●日本語の初歩的な例題


<Q1>以下の文を適切に句点で区切り「キュレーション」の定義を一言で説明してください。


<Answer>
『キュレーションとは要するに見かけのいいバケツであって、水をくむ場所がなければ成り立たないのだが、現在はその水をくむ場所を作ることが軽視される傾向があるようにも思われるため、弊社では記事を生産し、内容を作り出す、つまり水の湧き出す井戸の役割を担うことをポリシーとしている』


これはコミックナタリーを創刊した唐木元さんの書籍「新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニングできるビジネスシリーズ」(インプレス)で紹介された、ニュース配信業者が自社の強みを書き起こした文章です。ちなみに文頭に登場する「キュレーション(curation)」とは、情報を集め、整理し、分かりやすい形で例示すことを意味し、ここではデータ解析技術や機械学習技術を駆使して、個人の嗜好に合った情報を届けることを指します。

見ての通り、一文にしてはかなり長い文章です。さっと読んだだけでは何を伝えようとしているのか分かる人は少ないでしょう。この文章が分かりづらいのは、一つの文章に複数の情報が整理されぬまま羅列されているからです。前回も解説した通り、分かりやすいビジネス文章は、読み手の主観や経験に左右されたり、行間を読ませるような推測や忖度が入り込んだりする余地がありません。その基本となるのが「一文一義」に徹したシンプルな文章です。

<Attention!>

私なら例文を3つの文章に分け、書き手が伝えたいメッセージを次のように整理します。

1:キュレーションの定義

キュレーションとは要するに見かけのいいバケツであって、水をくむ場所がなければ成り立たない(のだが)。

2:現状への憂慮

現在はその水をくむ場所を作ることが軽視される傾向があるようにも思われる(ため)。

3:現状を踏まえた自社のポリシー

弊社では記事を生産し、内容を作り出す、つまり水の湧き出す井戸の役割を担うことをポリシーとしている。


一文一義を意識して句点を打ち、文章を区切るだけでかなり分かりやすくなったはずです。

伝えたい内容をただ並べるだけでは、読み手に伝えたいメッセージを届けることはできません。とくに長い文章はそれだけで読む気が削がれがちです。なるべく短い文章で区切るよう心がけるだけでも、文章は分かりやすくなります。

さらに分かりやすい文章を書くトレーニングとしてお勧めしたいのが、「議事録」のまとめです。
次ページ > 「議事録」のレベルはスキルのレベル

文=中村健太郎(アクセンチュア)

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