セレーナ・ゴメスの事例から考える、ネットと心身の健康との関係

Selena Gomez(Getty Images)

セレーナ・ゴメスがインターネットを4年以上使っていないと告白したとき、非常に多くの人が驚いたと思われる。

4年間インターネットなしだって?? おそらくほとんどの人は、インターネットなしで4時間過ごすことさえできないはずだ。

ゴメスは、主要ソーシャルプラットフォームで世界的な人気を誇る。歌手、俳優、プロデューサー、実業家(コスメブランド「レア・ビューティー」の創業者)として約5億人のフォロワー(一部は重複していると思われるが)を獲得しており、世界で最もフォローされているセレブリティの一人だ。しかし彼女は、SNSに自ら投稿することはない(自分のチームがコンテンツを作成する手伝いはしているが)。

ゴメスは、米ABCの情報番組「グッドモーニング・アメリカ」のインタビューで、次のように明かした。「インターネットをやめて4年半(中略)人生が変わった。より幸せになり、今ここに存在するようになり、人々との結び付きも強くなった。普通の感覚に戻ることができた」

すべての人の心を健康にすることは、ゴメスのライフワークだ。ゴメスは、メンタルヘルス・プラットフォーム「ワンダーマインド」も立ち上げている。共同設立者は、母親のマンディ・ティーフェイ(Mandy Teefey)と、ニュースレター配信会社「Newsette」の創業者ダニエラ・ピアソンだ。

ソーシャルメディアの害


ゴメスの体験には、科学的な裏付けがある。ハーバード大学系列のマクリーン病院によれば、ソーシャルメディアは、「快」にかかわる神経伝達物質ドーパミンの放出を促し、脳の報酬経路を刺激するという。ドーパミンは、食事や飲酒、セックスといった「気持ちのいい活動」と関連している。

つまり、ソーシャルメディアには強化の作用がある。中毒になりやすいようデザインされているため、うつ病や不安障害、身体症状との関連性が指摘されているのだ。

ヘイゼルデン・ベティー・フォード(Hazelden Betty Ford)財団の依存症研究大学院のアシスタント・プロフェッサーを務めるスティーブン・デリシ(Steven Delisi)医学博士は、「私たちは生まれつき、愛着とつながりを求めるようにできている」と話す。「ソーシャルプラットフォームは、愛着をつかさどる脳の領域をターゲットにしている。『テクノロジー経由の愛着』と、人同士の愛着の、相違点や類似点を理解する必要がある」

ソーシャルメディアが少女たちに与える破壊的な影響は、特に憂慮すべきものだ。そして、それは今に始まったことではない。

ニューヨーク州ウェストチェスター在住の医学博士で、児童・青少年の精神医療を専門とするキャンディダ・フィンクは、「少女とそのボディイメージに対する攻撃は、以前からすべてのメディアに存在していた。これは、ソーシャルメディアが登場するずっと前からのことだ」と話す。
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翻訳=米井香織/ガリレオ

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