ロシアとウクライナの戦いでは「水」も武器? タブーは破られたのか

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ロシアとの戦争でウクライナの農産物の生産量が減れば、特に大きな影響を受ける可能性が高いのは、同国からの輸入量が多い北アフリカ、そして中東の各国だ。

そして、当然ながら、農業には水が深く関わっている。慈善団体オックスファムのスコット・ポールは、世界中の飢餓が最も切迫した状況となっている場所では、「食料と同じくらい、水が不足している」と語る。

「飢饉のリスクや食料不安について語るとき、主に不足しているのは食料だと考えるのは、誤解だ」という。

安全な飲料水へのアクセスがない人は、世界におよそ22億人いる。この人たちは、栄養失調や死亡の危険にさらされている。米疾病対策センター(CDC)によると、水と衛生状態の改善により、世界における疾病の少なくとも9%、死亡の6%を防ぐことができるといわれている。

紛争は、清潔で安全な水へのアクセスを不確かなものにする大きな要因だ。一方、水が紛争の原因になることもある。そして、紛争が起きれば水という資源はさらに乏しくなる。

パシフィック・インスティテュートのシニアフェロー、ピーター・グレイクによれば、南北アメリカ大陸で水を巡る紛争が起きる可能性もあるという。

「貯水量が減っている。雪塊は記録的な速さで消失している。農家も都市も、必要とするだけの水が手に入らず、それによって、紛争が起きる可能性がある」

「水が足りなければ誰もが、他の誰かのところにある水を探そうとする」

編集=木内涼子

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