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2022.05.01 12:00

主体的な学びを実現する。「スコラボ」前田智大が仕掛ける教育改革

田中友梨

──どのような利用者が多いですか。

親御さんが「子どもの興味に応えられる教材がない」という理由で、子どもにスコラボを勧めるというケースが多いですね。YouTubeにも学べる動画はありますが、子どもの疑問にストレートな回答はしてくれないので。

例えば、東大の研究員として地球物理学の研究をしている奥田善之さんのクラス「知られざる地球の中の世界」は人気です。


「知られざる地球の中の世界」授業の様子

子どもに「地球の中はどうなっているの」と聞かれても、納得がいくように答えるのは難しいですよね。奥田さんは、地学の教科書的なことを説明するだけでなく、ご自身の研究に絡めながら情熱的にお話されるので、引き込まれるんです。

私が生物を好きになったきっかけも、生物好きの先生に出会ったことでした。スコラボでも、面白い大人や先生との刺激的な出会いを増やすことで、熱中できるものを発見する機会も増やせると考えています。

──これまでの実績は。

月によって変動がありますが、2022年3月の利用者数は前月比で倍になり、飛躍的に伸びました。クラス数が増えた影響もあると思います。

現在の会員数は2350人で、そのうち780人ほどが実際にクラスを受講、さらにそのうちの6割くらいにリピートをしていただいています。講師は現在50人ほど。他のマーケットプレイス・モデルのスタートアップと比べても、サービス開始からの経過時間を考えると、悪くない成果が出ていると思います。

──今後の展望は。

もっと多くの人が教育に関れるようにしたいですね。今の塾は、IT的な表現をすると「塾1.0」から抜け出せていません。塾側がコンテンツを作って、それを学ぶ形式です。

スコラボはマーケットプレイス・モデルなので、教えたい人が副業などで講師をしてくれています。そのため、従来の塾では採算の問題で開講できないようなニッチなジャンルでも、コンテンツを作ることができます。

もちろん、場を作るだけでサービスが伸びるわけではないので、次にどんなクラスを教える先生に来てもらおうか、とか、いつ対象学年を拡大しようかなど、繊細なデザインが必要になりますが。

今後は小中学生のみならず、高校・大学・社会人まで、多くの「学びたい」と思う人の潜在的なニーズに対して、テクノロジー進歩と社会の変化に合わせて、新たな教育の構造を作ることで応えていきたいです。



最近では、他の教育機関との連携も進んでいます。先日、愛媛県西予市野村町とともに学童保育向けのオンライン授業を実施しました。自治体は探求学習の実践を模索しているものの、現場のリソース不足という課題があるようなので、私たちにできることがありそうだと、新たな道も見えてきました。

少し先のことでいうと、海外進出もしてみたいですね。海外でも学びによる自己実現への欲求は普遍的なものだと思っているので、世界のいろんなところでスコラボを展開できればと思っています。


*前田さんは、5月1日(日)午前11時45分〜放送のテレビ朝日『発進! ミライクリエイター』に出演予定。

文=尾田健太郎 取材・編集=田中友梨 撮影=小田光二

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