教育分野での起業を選んだ理由は、日米両方の教育を経験して日本国内の教育を良くしないといけないと危機感を感じたこと。そして、日本の高校生たち・保護者と話していたときに、学生たちが興味も目的もはっきりしていない受験勉強に納得がいっておらず、「興味と目的に寄り添った学習機会」がニーズとして高まっていると感じたことです。
AI教材が基礎学力の習得を加速させている今、もっと子どもたちの興味を応援してリスクテイクを支える学習環境へのニーズはこれから高まりますし、社会の発展になくてはならないものとなります。
私がMIT時代に住んでいた寮の後輩に「次の学期は休学してスタートアップをする」と出ていって、そのまま戻ってこない人がいました。それがスケールAIの創業者、アレックス・ワンです。今やAIアプリケーション向けのAWSとなるようなサービスを作っており、時価評価額8000億円を超えるユニコーン企業となっています。
海外にはリスクを背負って挑戦することに対して寛容な雰囲気があり、ほかにも起業している友人が何人かいます。日本でもそうした流れになってきていると思いますが、まだまだ時間がかかりそうです。
こうした課題に対して、例えば受験制度改革などで一芸に秀でた学生を優遇するような形を目指すゴール設計も大事ですが、民間の側でスタートアップが学びの環境を作ることも必要。子どもが自分で興味のある分野を見つけ、学びたいことを深く学べるようなサービスがあれば、と思ったことがスコラボのビジネスアイデアにつながっています。
──そして帰国後の2020年にMined を立ち上げました。描いていたサービスを、どのように具現化されたのでしょうか。
Minedの創業当時は、高校生向けの学習コーチング事業をしていました。ただ、早々に行き詰まってしまい撤退。ゼロベースで事業を再検討し、マーケットプレイス・モデルならスケーラビリティをもって、主体的な学びに寄り添った教育を実現させる可能性がありそうだと考えて、今のスコラボが誕生しました。
スコラボは「探求学習」なのですが、サイエンスやコミュニケーションなど様々なジャンルの約120のクラスの中から子どもが希望するものを選ぶことができるように設計しました。固定のカリキュラムがなく、単発で1コマのみ受講することもできます。値段は1コマ980円〜と、手軽な価格です。
授業は1コマ60分程度で、参加者10人以内の少人数制をとっています。ターゲットとする学年の+−2歳幅の子どもが一緒に学べるような内容にしているので、学年の枠を超えて対等に話をしている様子がみられます。
クラスの紹介ページ。チケットは1枚490円で販売しており、まとめ買いするとお得になる。