ソクラテスは「正義とは何か」「勇気とは何か」などの対話や問答を通して、さまざまな人と議論を行いました。質問を重ねることで理解を深めていき、人々に「無知の知」の自覚を促し、人望を集めました。
その一方で、無知を指摘された人々からは憎悪され、数多くの敵もつくることとなりました。その結果、権力者からは人々を惑わす危険な人物とみなされ、裁判にかけられることになったのです。
裁判では、ソクラテスは自身の弁明(ソクラテスの弁明)を行い、自説を曲げませんでした。死刑執行が言い渡され、投獄されても、知への愛(フィロソフィア)と「ただ生きるのではなく、善く生きる」という意思を貫き、弟子たちから脱獄を勧められても断ったと言います。
ソクラテスは「結婚しなさい。良い妻を持てば幸せになるだろう。悪い妻を持てば哲学者になるだろう」という名言も残しています。ところが、そんな彼の妻・クサンティッペは、モーツァルトの妻、トルストイの妻とともに「世界三大悪妻」とされた人物でした。このことから4月27日は「悪妻の日」とも呼ばれています。
哲学の祖といわれ、その思想を広く知らしめたソクラテスですが、実は1冊も著書を残していません。それはソクラテスが「生きている言葉」として「話し言葉」を重要視していたから。彼の哲学と生き方は、弟子のプラトンらによって書き記されています。
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