Netflix「ラブ・イズ・ブラインド」、日本版のローカライズはなぜ成功したのか?


ローカライズは各国に委ねられている


ある国でヒットしたバラエティ番組が各国でローカライズされ、成功するケースはこれまでもありました。例えば「¥マネーの虎」がそれに当たります。そして、その多くは各国のテレビ局や制作会社の間でローカライズにあたっての「取引」がされていたわけです。

そして、その多くは各国のテレビ局や制作会社の間で取引されるわけですが、Netflixの場合は「企業内取引」で完結します。各国で配信サービスを展開するだけでなく、各国の拠点に制作機能を持つのがNetflixの強み。グローバルネットワークを活かしながらバラエティ番組のローカライズ化を進めており、『ラブ・イズ・ブラインド』はまさにその成功事例に当たります。

では、Netflixはどのように「ラブ・イズ・ブラインド」のローカライズを進めたのでしょうか。その秘密について、Netflixジャパンが3月24日に実施したプレス発表会で明かしました。

そのトークセッションには「ラブ・イズ・ブラインド」を手掛ける各国のプロデューサーが登壇しましたが、まず明らかにされたのは「制作決定は各国のクリエイティブチームの判断に委ねられている」ということでした。


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これについて、「ラブ・イズ・ブラインド JAPAN」のエグゼクティブプロデューサーを務めたNetflixコンテンツ部門プロデューサー(実写・バラエティ担当)の後藤太郎氏は次のように説明しました。

「『Netflixのアメリカ本社が全てを決定している』と憶測されることがよくありますが、まったくそんなことはありません。「ラブ・イズ・ブラインド JAPAN」もまさにそうでした。Netflix本社から指示されて日本版をつくったわけではありません。

(出会いの場において)外見が重視されがちないまの時代、内面の繋がりを追求する婚活メソッドに共感する人は日本でも多いだろうと思い、僕のほうからアメリカ版のプロデューサーに問い合わせしたところから、日本版の企画は始まりました」

また、ローカライズの制作にあたっては、何より「柔軟性」が重視されているようです。

「ラブ・イズ・ブラインド JAPAN」の制作会社にあたるテレビマンユニオンでプロデューサーを務め、現在は前出の後藤氏と同じくNetflixコンテンツ部門プロデューサー(実写・バラエティ担当)の小林みつこ氏は次のように話します。

「『ショーバイブル』と呼ばれる制作に関するアメリカ版の説明書は200ページにも及び、撮影やセットなどについて詳細に記されていました。ただし、『すべてこれに従わなくてもいい』と言われたのが印象的でした」


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さらに、この柔軟性について小林氏が続けます。

「フォーマットを大事にしつつ、日本の参加者であればどういうことが起きるのかシミュレーションしながら、本番の撮影に臨み、最終的に日本版は日本らしいかたちに仕上がったのです。日本人らしい愛情表現や気持ちがありのままに映し出され、それが魅力として伝わったと思っています」

実際にキスやハグなど愛情表現が豊かなアメリカ版に比べると、日本版は控え目に映りますが、言葉で気持ちを伝えるやり方などに独自の習慣や文化が表れています。
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文=長谷川朋子 編集=松崎美和子

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