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グローバル視点で覗きたいエンタメビジネスの今

「Shark(鮫)」たちの前で事業計画のプレゼンをする挑戦者 (c)ABC/Sony Pictures Television

いまから約20年前、2001年10月から2004年3月まで日本テレビ系で放送された番組「¥マネーの虎」が、いまだに海外で人気を博しています。

とは言っても、番組そのものが放送されているのではなく、番組のフォーマットが「輸出」され、世界各国で続々とリメイクされ、評判を高めているのです。特にアメリカでリメイクされた「Shark Tank(鮫の水槽)」は、テレビ界最高峰の栄誉と言われるエミー賞で何度もノミネートされ、受賞も果たしています。

深夜番組からスタートした「¥マネーの虎」は、いまや世界40カ国以上で展開され、日本を代表する海外コンテンツビジネスのサクセスストーリーとなっています。この成功から、私たちは何を学ぶことができるのでしょうか?

最初に英BBCへの販売に成功


「¥マネーの虎」は、夢を抱く起業志望者たちが、事業や夢の計画をプレゼンテーションし、それに対して「マネーの虎」と呼ばれる成功者たちが、自腹での投資可否を判断する内容で人気を集めました。投資決定なら「マネー成立」。失敗なら「ノーマネー」。司会を務めた俳優の吉田栄作さんが、不成立の際に無念の表情を浮かべながら告げる「ノーマネーでフィニッシュです」という決めの台詞も有名になりました。

応募者に対して審査員がジャッジするという番組の構図そのものは、アイドルのオーディション番組と同じスタイルのリアリティショーでしたが、カネが飛び交う生々しいビジネスの現場をバラエティ化して見せた異色の番組でした。

放送されたのは2001年10月から2004年3月までのわずか2年半。土曜の深夜枠(24時50分〜25時50分)から始まり、途中、ゴールデン帯に格上げされるも、終盤は再び深夜帯に戻り、惜しまれつつ終了した経緯があります。

実は、番組を制作した日本テレビは、人気に火が付いた2002年ごろから、「¥マネーの虎」を現地に合わせたスタイルにリメイクする、海外への番組フォーマットの販売を狙っていました。番組内で繰り広げられた真剣勝負の売り込みのプレゼンテーションを、まさに海外バイヤーに向けて行っていたわけです。

そして売り出してから3年目にして、ようやく海外で放送実績を得るに至ります。番組の言葉で言えば、「マネー成立」となりました。

しかも最初に商談が成立した相手はイギリス公共放送のBBCでした。イギリスでは、すでに日本では放送が終了していた2005年から放送が始まり、「Dragons’ Den(龍の巣)」のタイトルで、いまでも放送が続いています。

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「Dragons’ Den(龍の巣)」最新シーズン18の「ドラゴン」たち (c)BBC/Sony Pictures Television

2009年からは、アメリカの4大ネットワークの1つであるABCで「Shark Tank」として放送が開始され、このアメリカ版もヒットしました。「虎」ならぬ「Sharks(鮫)」と呼ばれる億万長者が、アメリカンドリームを追いかける挑戦者たちにチャンスを与える内容が評価を受けて、2012年に初めてエミー賞にノミネートされてから毎年欠かさず受賞候補に挙がり、これまで4回の受賞を果たしています。

エミー賞はテレビ界のアカデミー賞とも呼ばれるもので、テレビ芸術科学アカデミーが主催する歴史と権威ある賞です。今年で73回目を迎え、7月13日にノミネート番組が発表され、今年も「Shark Tank」は候補として名を連ねました。

エミー賞は、ここ数年はディズニーやHBO、Netflix制作の番組が賞を争っていますが、そこに日本の番組が元となる「Shark Tank」が割って入るのはとても栄誉あることです。今年は、プライムタイムのリアリティショーを対象とする3つのカテゴリー、「卓越した構成のリアリティショー」「卓越したリアリティショーまたはコンペティションの司会」「卓越したキャスティング」でノミネートされました。

文=長谷川朋子

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