野球経験なきプロスカウトが解く、「人の評価」はデザインできる!

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俳優とレストラン。評価の違いは?


映画やドラマを観ていて、俳優の演技について、“名演技”とか“大根”とか、家族や友達と感想を言い合うのは楽しいですよね。でも「じゃあ、どうしてそう思うの?」と聞かれたらどうですか。果たして、上手く説明ができるでしょうか。

「うーん、いいと思うから、なんだけどなあ。あの、ラストの、別れのシーンなんかも見事だと思ったけど。イヤ、どこがって言われるとなあ。あの何とも言えない、悲しそうな表情がさ...」

“演技が上手い”とはどういうことか、そもそも“演技”とは何なのか。評価を下すことと、それをはっきりと説明できるかどうかは、別ものみたいです。


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例を変えましょう。レストランはどうでしょう?

そこで出される食事の味に関しては、さっきの演技の例のように、説明が難しいかもしれません。でもレストラン全体の評価の説明は、少しはやりやすく感じませんか?

「味に関しては人それぞれかもしれないけど、私は美味しいと思ったわ。お店はこざっぱりしてて、掃除も行き届いていた。店員さんもみんな感じが良くて、メニューのこともよく分かってたわ。

値段はちょっと高かったかな? でもあれだけの料理の量で、むしろ良心的と言ってもいいかも。駅から歩いて5分だし、道もまっすぐだったから、行きやすかったわよ」

これは説得力のある評価ですよね。いい店だな、行ってみたいな、と思わせてくれます。

お気づきでしょうか、評価は全体をいくつかの項目に分けていくと、分かりやすくなるみたいです。

ポイントは、“分”けて“析”する「細分化」


俳優の演技は細分化できるでしょうか。“セリフ”という評価項目は作れそうですよね。“表情”もいけそうです。

どうやって一つ一つの項目を作っていくか? そして、それにどう点数をつけていくか? これには後で触れるとして、いずれにせよ俳優の演技という、“概念的で難しそうなこと”に関しても、評価を細分化できる。少なくともその努力はできる、ということが見えてきます。

思うに、これが“分析”ということではないでしょうか。“分”けて、“析”する。

まず、分けることで、問題は分かりやすくなる。そもそも、この言葉に“分かる”という漢字を使うのもそれが理由... なのかどうかは知りませんが、そう解釈してもあながち間違っていないかもしれません。

ワインを作ったことがある人だけが、ソムリエになるべきか??



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最初の問いに戻ります。なぜ皆、野球をしている人の評価は、野球をしていた人にしかできないと思うのか。

それは僕自身が今挙げたように、評価対象によっては細分化がしにくい、ということもあるかもしれません。でも、評価が難しい→経験者が評価すべきだ、という理屈には、ちょっと飛躍があると思いませんか?

ワインの良し悪しを見極めるのは難しい→ワインの評価者(たとえばソムリエ)には、訓練を積まないとなれない。この理屈は分かります。

でも、ワインの良し悪しを見極めるのは難しい→農園でワインを作ったことがある人だけがソムリエになるべき。これは、変ですよね?

僕は本当の理由は、評価をする側と聞く側、両者の怠慢だと思います。
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編集=宇藤智子

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