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2022.04.18 07:00

デリバリーからフィンテックへ変貌!東南アジアのスーパーアプリ「グラブ」

配車や金融決済を手がける東南アジア発のスーパーアプリ「Grab(グラブ)」

配車や金融決済を手がける東南アジア発のスーパーアプリ「Grab(グラブ)」

特別買収目的会社(SPAC)は、即時の成功を約束しているわけではない。配車や金融決済を手がける東南アジア発のスーパーアプリ「Grab(グラブ)」が好例だ。

同社は2021年12月にSPACで米ナスダックに上場したものの、株価は低迷している。それでも、圧倒的な人口を抱える東南アジアは1兆ドルの経済圏に成長しうる。同市場の制覇を狙うグラブの創業者が描く成長戦略とは。


東南アジア発の配車サービスを展開する「グラブ」は20年、新型コロナウイルスの感染拡大が始まると、都市封鎖や行動制限措置のために配車事業が大きな痛手を受けた。

「最初に考えたのは、パートナーであるドライバーをうまく方向転換させて、彼らの収入を確保することでした」

グラブの共同創業者兼CEOのアンソニー・タン(39)は、そう振り返る。出前の需要が急増したのを受け、同社はドライバーたちにフードデリバリーに対応するよう求めた。すると、ごく短期間で14万人のドライバーが仕事を配車から配送に変えた。このような柔軟な対応ができた背景には、グラブの“スーパーアプリ戦略”がある。同社のアプリが配車サービスだけでなく、出前やeコマースの配送にも対応できる「一体型プラットフォーム」だからだ。

「グラブは以前にも増して活気づきました。東南アジアで複数のバーティカル市場に展開できているのは当社だけです」(タン)

グラブの前身は、タンが2012年に母国のマレーシアでタン・フイリンと共同で立ち上げた「MyTeksi(マイテクシ)」だ。シンガポールに本社を置くグラブは21年、評価額400億ドルで特別買収目的会社(SPAC)と合併し、同年12月には米ナスダック市場への上場を果たしている(編集部註:株価は取引初日に21%安を記録した後、低迷している)。

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グラブの共同創業者兼CEOのアンソニー・タン Getty Images

しかし、グラブにはGGVキャピタルやソフトバンク、トヨタ自動車などの大手企業が120億ドル以上を投資し、今後の成長を期待している。グラブは配車、配送、金融の3つを事業の柱としており、21年の流通取引総額(GMV)は125億ドルに上った。

調査会社ユーロモニターによると、東南アジアのフードデリバリー、配車、デジタル・ウォレット決済、デジタル金融サービスの総需要は、25年までに20年の少なくとも3倍に増え、GMVが1800億ドルを上回る見通しだという。そんな中、グラブは東南アジア8カ国で手がけている主なビジネスのいずれにおいても業界トップを目指すと宣言している。
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文=ジェシカ・タン 写真=ショーン・リー 翻訳=フォーブス ジャパン編集部 編集=上田裕資

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