挽肉という食材への信頼は、海外では思っているよりも低い。日本にはある「規格」などはほぼなく、なんでも混ぜてしまう。何が混ざっているかわからないといったイメージもあります。だからこそ、「ちゃんとした挽肉です」という価値と安心感の付与のために、お客様の目の前で挽くことにはこだわりたいのです。
信頼の他に、鮮度を保つことも挽肉の美味しさの1番のポイントなので、あえてそれを見せるためにも店内ですべてやりたいのです。
実は、今度オープンする「挽肉と米」の京都店では、精米も店内でします。
海外に輸送するときに、たとえ真空パックであっても、精米済みのものだとやはり劣化は免れない。玄米のまま輸送し、現地で精米することで美味しさをしっかり担保できるのです。そのために、「玄米から店内で」をまずは国内の京都で実験しようと思っています。
「店内精米」だけでなく、いまは日本で海外展開する店舗のプロトタイプをつくっているところですね。──コロナ禍で不動の市場を築いたといってもいい中食EC製品と、コンセプトのアウトラインがはっきりした超シンプルな「挽肉と米」の両輪で前進すること。そして、まずは日本のみなさんに楽しんでいただきながら、海外でスケールすることを、地に足をつけながら実装していきたいと思っています。
(写真=曽川拓哉)
山本昇平(やまもと・しょうへい)◎「俺カンパニー」代表取締役、「挽肉と米」取締役。ハンバーグ専門レストラン「俺のハンバーグ山本」は2005年の開店以来「行列のできる洋食屋」として一世を風靡、「俺ハン」の愛称で絶大な人気を博した。2010年頃から「俺の」を冠した飲食店が続々とオープン、「俺のハンバーグ山本」は、2016年6月に全店舗を「山本のハンバーグ」に名称変更する。2019年3月には「一風堂」などを運営する「源ホールディングス」元社長でLAMP代表の清宮俊之、元博報堂のクリエーターでPOOL代表の小西利行氏と「挽肉と米」のジョイントベンチャーを立ち上げ、2020年6月に東京の吉祥寺で1店舗目をオープンする。
前編:「俺のハンバーグ」から「挽肉と米」、中食へ。山本昇平が「挽肉」にこだわる理由