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2022.03.04 08:00

「ゴミ処理施設の上でスキーをしよう」ビャルケ・インゲルスが考える未来の街づくり


YES IS MORE 課題を肯定的に見て豊かさを発想する





インゲルスによる著書。BIGを設立してから4年後、同名の展覧会に合わせて2009年に出版した『YES IS MORE』(左)は、漫画仕立てでBIGの思想が描かれた作品だ。建築家はどうにかしてアバンギャルド性が高い作品をつくろうと模索する一方、クライアントは「よくできた四角い箱」を建築に求めるのが世の常。しかし、BIGはプラグマティックでありながら、ユートピア思想にあふれた建築を生み出したいと考えている。建築家とクライアントが、共に課題に向き合ったとき、社会的にも、経済的にも、環境的にも優れた建築は生み出されるのだ。

THINK BIG 未来の構想は大胆に描け!


水上国家(オセアニックス)の建設や火星移住プロジェクト(マーズ・サイエンス・シティ)は、一見すると突拍子もない考えのようだが、意外と理にかなっている。「既存のルールが問題解決の妨げになるのなら、新しい国家をつくるのはどうだろう。人類創世の時代から、人々は灼熱の砂漠や、マイナス数十℃の氷の世界を生き延びてきた。どんな極限状況でも、人間は、サステナブルに生きる術をもっているのだ」と語るインゲルス。ちなみにBIGは、あの「バーニングマン」にも作品を提供した。





ビャルケ・インゲルス・グループ◎2005年設立の建築事務所。コペンハーゲン、ニューヨーク、ロンドン、バルセロナに事務所を構える。過去5年の代表作は、レゴ本社「レゴ・ハウス」(2017年)、ノルウェー美術館「ザ・ツィスト」(19年)、コペンヒル(19年)、深センインターナショナル・エネルギー・マンション(20年)ほか世界各国に多数。

ビャルケ・インゲルス◎1974年、コペンハーゲン生まれ。BIGファウンダー、クリエイティブ・ディレクター。デンマーク王立美術学院で建築を専攻。ヴェネチア建築ビエンナーレで金獅子賞受賞後、2005年より現職。ハーバード大、コロンビア大、イェール大の客員教授も務める。

文=中島恭子 編集=神吉弘邦

この記事は 「Forbes JAPAN No.090 2022年2月号(2021/12/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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