経済・社会

2022.03.12 07:30

難民が抱える戦争のトラウマとウクライナ市民が受けるその影響

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避難を余儀なくされる人たちについて、カーバロ医師が特に懸念するのは、病院での治療を必要としながら、それが受けられなくなる可能性が高い高齢者と障害者、そして、子どもたちだ。中でも難民になった子どもたちについては、こう述べている。

「まず必要なのは、一緒に遊んだり、一緒に食事をしたりできる体制を整えることだ」

「私たちが見失わないように注意しなければならないのは、こうした子どもたちが、必ずしも泣いているわけではないということだ。遊び場で、すぐに遊び始めているかもしれない。だが、彼らの心の中で起きていることを、過小評価してはならない」

メンタルヘルスに及ぶ影響は、すぐに目に見えるようにはならない、そうなるとは期待もできないことを、理解しておかなければならないという。

未来への希望


ウクライナからの難民たちは、数々の問題に直面している。だが、マケドニアやアルバニアで国連の難民キャンプの設置に携わり、ボスニア ・ヘルツェゴビナ紛争の際にも現地で活動した経験を持つカーバロ医師にとっては、勇気づけられることもある。

それは、欧州の多くの国々が、ウクライナからの難民の受け入れに積極的なことだ。各国の対応は、私たちがこれまでの経験からより多くを「学んだ」ことを証明するものだという。「国際社会として、危機が起きたときには立ち上がり、痛みだけでなく未来をも共有できるということを、私たちは学んだのだ」と語っている。

編集=木内涼子

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